紀尾井シンフォニエッタ東京 2014/15シーズン

創立20周年に向けての好ラインナップ

 紀尾井シンフォニエッタ東京が来年4月に創立20周年を迎える。さらに7月には100回目となる定期演奏会を開くとあって、2014/15シーズンは例年にも増して意欲的な公演が並んだ。
 第96回定期(9/19,9/20)で記念すべき新シーズンの幕開けを飾るのは、名匠アントン・ナヌート。シューベルトの交響曲第7番「未完成」、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」他のプログラムを披露する。ナヌートといえば、かつてはもっぱら録音で名前を目にする指揮者であったが、2009年に初来日して紀尾井シンフォニエッタを指揮して以来、日本での存在感を一躍高めたベテランである。作品の本質に迫る名演を期待したい。
 第97回(11/14,11/15)ではオラフ・ヘンツォルト指揮のもと、今季も重鎮ペーター・レーゼルをソリストに招いて、オール・ブラームス・プログラムが組まれる。ピアノ協奏曲第1番によって、3年間にわたる『ドイツ・ロマン派ピアノ音楽の諸相』シリーズの掉尾を飾る。
 第98回(2015/2/13,2/14)はヴァイオリニストとしても知られるドミトリー・シトコヴェツキーが指揮台に上る。シトコヴェツキー編曲のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」弦楽合奏版とチャイコフスキーの弦楽セレナードが組み合わされ、紀尾井シンフォニエッタが誇る弦楽セクションの美質が最大限に発揮されることとなる。
 第99回(4/24,4/25)の指揮者はウィーン生まれの気鋭、サッシャ・ゲッツェル。名教師としても知られるアナ・チュマチェンコと、その愛弟子であり紀尾井シンフォニエッタのコンサートマスターでもある玉井菜採が、モーツァルトの「2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ」で共演する。さらにチュマチェンコによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番、シューベルトの交響曲第8番「グレイト」と、聴きどころの多いプログラムだ。
 第100回(7/3,7/4)には、名指揮者セミョーン・ビシュコフが招かれる。ライナー・ホーネックとマキシミリアン・ホルヌングの豪華独奏陣によるブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲と、ベートーヴェンの交響曲第7番他がとりあげられる。ビシュコフは創立20周年記念特別演奏会(7/10,7/11)でも指揮を務め、不滅の傑作バッハのミサ曲ロ短調を演奏する。20年の集大成にふさわしい、心揺さぶる演奏会になることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年5月号から)

定期演奏会
第96回 9月19日(金)、20日(土) 
第97回 11月14日(金)、15日(土)
第98回 2015年2月13日(金)、14日(土) 
第99回 2015年4月24日(金)、25日(土) 
第100回 2015年7月3日(金)、4日(土)

紀尾井シンフォニエッタ東京&紀尾井ホール創立20周年記念特別演奏会
2015年7月10日(金)、11日(土)

問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
*発売日などの詳細は以下のウェブサイトでご確認ください。
http://www.kioi-hall.or.jp