歴史を振り返るとともに、新しい時代を見据えて
東京音楽大学が創立115周年を迎えている。同大学は1907年に鈴木米次郎によって設立された東洋音楽学校を前身とする、日本ではもっとも古い私立の音楽大学。特に近年日本のクラシック界の第一線で活躍する若手演奏家を多く輩出している。そんな東京音大が創立115周年を記念して、10月13日と14日の2日間、サントリーホールを会場に特別演奏会を開催する。「音楽のチカラで未来をつくろう」をテーマにした9公演は、東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルによる吹奏楽や、創立記念特別第九オーケストラによる「第九」、また学内選抜の学生による室内楽や声楽演奏会などバラエティに富んだ内容。
特に注目されるのは、初日に大ホールで開催される「本学創立のとき、1907年のピアノ・シーン」。20世紀初頭のこの年に誕生した作品にスポットを当てる。岡田敦子副学長は、「ヨーロッパ全土を俯瞰する類例のないプログラム」と述べ、石井克典ピアノ主任教授は「本学創立年のピアノ作品は、ピアノ音楽史上極めて重要であることから、この嬉しい偶然を企画化した。本学の個性溢れる学生の演奏をぜひ会場でお楽しみください」と語る。取り上げられる作曲家はバルトーク、プロコフィエフ、ヤナーチェク、ベルク、ドビュッシーなど。東京音大の付属高校、大学、大学院在学中の12人の若手による多彩な演奏で往時を回想する好企画だ。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2022年10月号より)
2022.10/13(木)、10/14(金) サントリーホール 大ホール、ブルーローズ(小)
問:演奏会お問い合わせ窓口03-6379-3788
https://www.tokyo-ondai.ac.jp
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。