世界中で愛される“シルキー・ボイス”を心ゆくまで堪能
クラシカル・クロスオーバー界の歌姫、キャサリン・ジェンキンス。2004年のアルバム・デビュー以来、リリースごとにヒットを記録し続け、17年には英ラジオ局のClassic FMが「過去25年間においてもっとも多くの売り上げを記録したクラシック・アーティスト」と公式に発表。いまやイギリスでもっとも愛されるシンガーとしての地位を確かなものにしている。
“シルキー・ボイス”と称される彼女のメゾソプラノは、聖母マリアのような清らかさとあたたかな慈愛に満ちている。南ウェールズに生まれ、ニースのセント・デイヴィッド教会の聖歌隊で音楽への愛を育み、英国王立音楽院で声楽を学んだ。そのレパートリーはクラシックからミュージカル、映画音楽、ポップスまで多岐にわたるが、ケルト民族にルーツをもつ故郷ウェールズのトラディショナル・ソングなども大切に歌ってきた。流行りに任せて方向性を変えるのではなく、自分の芯をしっかり持っているところも、息の長い人気の理由だろう。
今回の来日公演の予定曲目には、〈アメイジング・グレイス〉〈タイム・トゥ・セイ・グッバイ〉といった人気曲をはじめ、ランゴレン音楽祭でタイトルロールを歌った歌劇《カルメン》から〈ハバネラ〉、2016-17年の東急ジルベスターコンサートで歌った〈ワールド・イン・ユニオン〉などが並ぶ。また、本公演は文化庁「子供文化芸術活動支援事業」となっており、18歳以下は無料招待の席が用意されている(要申込)。アンソニー・イングリスが指揮する東京フィルハーモニー交響楽団との共演でゴージャスな一夜を楽しみたい。
文:原典子
(ぶらあぼ2022年8月号より)
2022.9/3(土)18:00 Bunkamura オーチャードホール
問:日本アーティストチケットセンター03-5305-4545
http://www.visavision.co.jp