音楽物語『トットちゃん』初演から40年! 黒柳自らの語りで上演
終戦記念日の8月15日、東京フィルハーモニー交響楽団の「ハートフルコンサート」が今年も開催される。ご存知の方も多いだろうが、このコンサートは同楽団副理事長でユニセフ親善大使の黒柳徹子によるトーク入りの平和祈念コンサートだ。少女時代に戦時下の辛い思いを経験した黒柳のトークは万人必聴ではなかろうか。もちろん、毎回豪華なゲストが出演し、プログラムも充実している。
今年は演奏活動60周年を迎えたヴァイオリンの前橋汀子がゲスト。切れ味のよい独奏でベートーヴェンの「ロマンス第2番」とサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」が演奏される。そして後半は、オーケストラによる音楽物語『窓ぎわのトットちゃん』が黒柳自身の語りで上演される。この音楽物語の作曲者は2016年に永眠した作曲家で医師の小森昭宏。1982年に当時の新星日響の委嘱により作曲された。実は小森の父・小森宗太郎はNHK交響楽団の前身、新交響楽団の名物ティンパニ奏者だった人で、新交響楽団のコンサートマスターを務めた黒柳の父・黒柳守綱と親しかった。そんな関係から黒柳をよく知る小森は生前、この作品を「まるでトットちゃんが作曲したみたいだな、と思って聴いていただけたら嬉しい」と語っていた。
今年はこの音楽物語の初演からちょうど40年。躍進目覚ましい実力派、角田鋼亮が指揮台に立って、前橋、黒柳と息の合った協演を聴かせてくれるはずだ。
文:萩谷由喜子
(ぶらあぼ2022年8月号より)
2022.8/15(月)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522
https://www.tpo.or.jp