Trio Rizzle VOL.2

トッパンホールから誕生した精鋭トリオが描き出す弦楽の奥深さ

2021年6月公演より
左から:毛利文香、田原綾子、笹沼樹 (c)大窪道治

 すぐれた若手奏者たちの活躍で、いま日本の室内楽シーンは活況を呈している。注目株のひとつがTrio Rizzle(トリオ・リズル)。毛利文香(ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)、笹沼樹(チェロ)の気鋭の若手3人が組んだ弦楽三重奏だ。8月11日、トッパンホールで第2回の公演を開く。

 「ん、Rizzleってなんだっけ?」と思わず辞書を引きたくなってしまうが、トリオ・リズルとは「トリオ」と「オリヅル」を合体させた名称。なんの変哲もない正方形の紙が、創意を凝らした折り方によって鶴のようにもなる。そんな意味合いが込められているのだろう。昨年6月の第1回公演では、弦楽三重奏という簡潔な編成から有機的で立体的な音楽が生まれる様子に、まさしく折り紙的なおもしろさを感じることができた。

 今回の第2回公演では、ベートーヴェンの弦楽三重奏のためのセレナード ニ長調、ペンデレツキの弦楽三重奏曲、フランセの弦楽三重奏曲、ドホナーニの弦楽三重奏曲ハ長調「セレナード」という多彩なプログラムが組まれた。古典派時代のオーソドックスなスタイルのセレナードであるベートーヴェン、緊迫感あふれるペンデレツキ、軽やかで洒脱なフランセ、古典派セレナードへのオマージュとも言うべきドホナーニと、すべて異なるスタイルで書かれた4曲が並ぶ。選曲の妙、プログラムの新鮮さも魅力。名手ぞろいのTrio Rizzleが、弦楽三重奏の世界の豊かさと奥深さを伝えてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年7月号より)

2022.8/11(木・祝)17:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
https://www.toppanhall.com