昨年デビュー30周年を迎えた横山幸雄による、2022年1月のサントリーホール公演のライブ録音。デビュー公演と同会場で同じ協奏曲を弾く記念企画で、共演は若き日から舞台を共にする指揮者の大友直人、そして盟友・矢部達哉がソロ・コンサートマスターを務める東京都交響楽団。やわらかく輝く音、ナチュラルな抑揚で歌われてゆくショパンには、長年この作曲家に向き合い体になじませてきたピアニストならではの、確信に満ち、同時に肩の力を抜けた、爽やかな情感があふれている。オーケストラの演奏からも、ピアニストの音楽に敬意を持って寄り添う気持ちが伝わってくる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2022年6月号より)
【information】
SACD『ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番 他/横山幸雄』
ショパン:ピアノ協奏曲第2番、同第1番、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
横山幸雄(ピアノ)
大友直人(指揮)
東京都交響楽団
収録:2022年1月、サントリーホール(ライブ)
ソニーミュージック
SICX-10014-5(2枚組) ¥3300(税込)