N響ベストクラシックス 秋山和慶 × 荒井里桜 × NHK交響楽団

若き才能と巨匠が織り成す名曲ステージ

 巨匠秋山和慶とN響による名曲コンサート。前半は将来を嘱望されるヴァイオリニスト、荒井里桜(りお)が登場し、ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」を演奏する。荒井の受賞歴は華々しい。東京藝術大学を首席で卒業。第15回東京音楽コンクール弦楽部門第1位および聴衆賞、第87回日本音楽コンクールバイオリン部門第1位、併せてレウカディア賞・鷲見賞・黒柳賞も受賞した。オーケストラとの共演も多く、これまで東京フィル、新日本フィル、東響、日本フィル、仙台フィル、群響などと演奏している。現在、ローザンヌ高等音楽院にて、ジャニーヌ・ヤンセンに学んでいる荒井のヴァイオリンの魅力は、完璧なテクニックはもとより、ヴィブラートのかかった美しい音色とオーケストラに負けない鳴りの良さにある。荒井は今回がN響デビューとなるが、協奏曲の“合わせ”にも定評のある秋山との共演は心強い。ソリストとして最高の舞台を得て、更なる飛躍を遂げるに違いない。

 後半のブラームス「交響曲第1番」は、秋山が東響を指揮した演奏を今年1月に聴いたが、巨匠の名にふさわしい風格と重厚さとともに、爆発的なエネルギーと若々しい表現力に驚嘆した。第1楽章の力強さや第4楽章の圧倒的な高揚感は、81歳という年齢が信じられないほどだった。秋山のN響ステージデビューは1972年の特別演奏会。以来両者は数多くの共演を重ね、お互いの信頼を築いてきた。ドイツ音楽本流の伝統を持つN響と秋山のブラームス「交響曲第1番」への期待は高まるばかりだ。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2022年5月号より)

2022.6/4(土)16:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
問:かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233 
https://www.k-mil.gr.jp