炎のマエストロの指揮で新時代を開いた作曲家たちの熱き情熱に触れる
今から200年ほど前の19世紀初頭。フランス革命の余波がまだ全ヨーロッパの政治に影を落としていた時代は、音楽の大きな変革期でもあった。実はベートーヴェンの傑作の多くが書かれたのはそんな時代だった。
2020年はベートーヴェンの生誕250年だった訳だが、19世紀初頭のベートーヴェンは壮年期にあり、時代の常識を超えた作品を次々と生み出していた。ヴァイオリン、チェロ、ピアノという3つの楽器を独奏に起用した「三重協奏曲」もそのひとつ。いわゆるピアノ三重奏の編成とオーケストラを結びつけるという大胆な発想の協奏曲を書いた。そしてフランスの作曲家ベルリオーズはベートーヴェンの死の3年後に、それまでの枠を超える自由な発想による「幻想交響曲」を発表。当時ベルリオーズはまだ20代だった。
壮年期のユニークな協奏曲、そして若さほとばしる交響曲を、80歳を超えても音楽に情熱を燃やし続ける小林研一郎が指揮する。「三重協奏曲」では、国内外のコンクールで優れた成績を収めてきた若手ヴァイオリニストの周防亮介、チェロの遠藤真理(読響ソロ)、ピアノの小林亜矢乃(小林研一郎の娘でもある)という3人の名手がベートーヴェンでのソロに挑む。
土日の午後、東京芸術劇場で開催される読売日本交響楽団「マチネーシリーズ」で、私たちは再びその19世紀の傑作に触れ、音楽を革新しようとしていた作曲家の熱い情熱に出会う。現代でも通用する新しさが感じられるコンサートだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年4月号より)
第246回 土曜マチネーシリーズ
2022.4/23(土)
第246回 日曜マチネーシリーズ
4/24(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp