【CD】ピアニズム4 アルベニス:《イベリア》12の新しい印象/長尾洋史

 ゴルトベルク変奏曲、ドビュッシーの前奏曲集、ハイドンのソナタに続く長尾洋史の「ピアニズム・シリーズ」第4弾は意外にもアルベニスの「イベリア」。スペインに根ざしたローカリティを踏まえつつ、それを近代的な和声法と絶妙に融合させたことにより普遍性を持つに至った「イベリア」だが、この長尾の演奏で聴く同曲は異演盤に比べて洗練された身振りがより強く感じられる。それは多層的なリズム要素の追求であったり、ドビュッシーやラヴェルに共通するような技術的側面においてである。詩情も十分だが、何よりも「モダニスト」アルベニスを浮き彫りにした快演と言えるだろう。
文:藤原聡
(ぶらあぼ2022年4月号より)

【information】
CD『ピアニズム4 アルベニス:《イベリア》12の新しい印象/長尾洋史』

アルベニス:「イベリア」12の新しい印象

長尾洋史(ピアノ)

録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9042 ¥3080(税込)