パリのフルート作品で2枚のCDをリリースしてきた出口清子が、「中欧の」と題するアルバムを作った。ドイツ、オーストリアおよびボヘミアの古典から近現代までの作品、それも元来は他の楽器を想定された曲にも積極的に取り組んでいる。モーツァルトの鍵盤楽器とヴァイオリンのためのソナタ K.376や、ヴァイオリンやクラリネットで奏されることの多いシューマンの「3つのロマンス」などを、浦壁信二のピアノとともに、柔らかに気品に満ちた演奏で聴かせる。フルートのために書かれたライネッケのソナタ「ウンディーネ」は、艶やかで飛翔感に富んだ響きで魅了する。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年4月号より)
【information】
CD『中欧のフルート/出口清子&浦壁信二』
モーツァルト(モルガン編):ソナタ K.376/シューマン:3つのロマンス(ランパル編)、幻想小曲集 op.73(ジェンジェッシー編)/クライスラー(ビルテル編):愛の喜び/ライネッケ:ソナタ「ウンディーネ」/ドヴォルザーク(タルミ編):ソナチネ op.100
出口清子(フルート)
浦壁信二(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-3124 ¥3080(税込)