吉田都・新国立劇場 舞踊芸術監督が、22/23シーズン ラインアップを発表

 新国立劇場は3月1日、開場25周記念年となる2022/23シーズンのラインアップ説明会を行い、吉田都・舞踊芸術監督が登壇した。吉田にとって3シーズン目となる新シーズンは、バレエ6演目、ダンス3演目を上演し、吉田自ら演出する開場25周年記念公演『ジゼル』新制作で幕を開ける。
(2022.3/1 新国立劇場 オペラパレス Photo:J.Otsuka/Bravo)

*大野和士・オペラ芸術監督より同日発表されたオペラ ラインアップ会見の模様はこち

左より:小川絵梨子(演劇芸術監督)、大野和士(オペラ芸術監督)、吉田都(舞踊芸術監督)

【バレエ】
●開場25周年記念公演『ジゼル』
(新制作)
(22年10月、演出:吉田 都、振付:ジャン・コラリ / ジュール・ペロー/マリウス・プティパ) 
●『くるみ割り人形』(22年12月〜23年1月、振付:ウエイン・イーグリング)
●『ニューイヤー・バレエ』(23年1月)
 A Million Kisses to my Skin(新制作) / シンフォニー・イン・C / 未定
●『コッペリア』(23年2月、振付:ローラン・プティ)
●『シェイクスピア・ダブルビル』(23年4月〜5月)
 夏の夜の夢(新制作)/ マクベス(新制作・世界初演)
●『白鳥の湖』(23年6月、振付:マリウス・プティパ / レフ・イワーノフ / ピーター・ライト)

【ダンス】
●新国立劇場バレエ団『春の祭典』
(22年11月)
 春の祭典/半獣神の午後
●新国立劇場バレエ団『DANCE to the Future 2023』(23年3月)
●日本の洋舞100年・第4弾『ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2023』(23年6月) 
 土面/夏畑/『マーサへ』より三章「運命の道」/『バルバラを踊る』 より「Dancing to Barbara」

【新国立劇場こどものためのバレエ劇場 2022】
●ペンギン・カフェ
(22年7月)

【特別企画】
エデュケーショナル・プログラム vol.2『白鳥の湖』(23年6月)

 新制作は3演目4作品で、オープニングを飾る開場25周年記念公演『ジゼル』は吉田自身の演出で上演され、「オーソドックスなものになる」という。「『ジゼル』もいろいろな解釈がありますが、年を重ねるごとに世界中から先生が来られ、ミックスされたものになってきているのが気になっていた」とし、改訂振付として英国ロイヤルバレエ、パリ・オペラ座で振付をしているアラスター・マリオットとともに「新しくジゼルを作りたい」と意気込む。

 続く『ニューイヤー・バレエ』で上演の『A Million Kisses to my Skin』は21年に予定していた演目で、「クラシックとコンテンポラリーを融合した」作品。振付家デヴィッド・ドウソンが来日して指導する。 

 23年4月上演の『シェイクスピア・ダブルビル』は、22年1月からの延期公演『夏の夜の夢』新制作と、世界初演となる『マクベス』の2本立て。『マクベス』では、昨年PARCO劇場で上演された『ピサロ』(主演:渡辺謙)で演出を手がけたウィル・タケットが振付を担当する。

 レパートリーものでは、昨年無観客ライブ配信され、「今回はぜひ生で見ていただきたい」と語る『コッペリア』に、昨シーズン上演し好評を博したサー・ピーター・ライトによる『白鳥の湖』を上演。「ダンサーの身体になじむように、早いうちに再演したかった」と意図を語った。

 ダンス作品では、オーディションで選ばれたバレエ団ダンサーが出演する、平山素子と柳本雅寛の振付作品『春の祭典』が再演される他、同時上演の新作『半獣神の午後』では、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を使用し、男性ダンサーを中心とした20分程度の作品になるという。

 日本独自の創作舞踊のパイオニアたちの作品を復元上演するシリーズ「日本の洋舞100年」の第4弾は、モダン・ダンスで活躍した3名の振付家(芙二三枝子、折田克子、アキコ・カンダ)の代表作を、平山素子、中村恩恵らが出演し上演。吉田は「新たな面がみられるのではないかと楽しみ」と語る。

 こどものためのバレエ劇場『ペンギン・カフェ』では、「子どもたちにより深く届くのではないか」と、上演前にNHKラジオ「子ども科学電話相談」で人気の回答者、成島悦雄を迎え、映像や写真を交えながらトークショーを開催するという。

 その後の質疑応答では、現在の世界情勢をふまえ「芸術と社会」の関わりについて各芸術監督に問いかけられた。吉田はかつて湾岸戦争が始まったその日に『白鳥の湖』を踊っていたそうで、「戦争が始まったらこんなことをしている場合ではないと思いながら、普通に舞台が行われていた」ことを思いだしていたという。「いままでも戦争や内戦があり、その中でいつも前に進んできた。私たちにできることをするしかない」。

新国立劇場 
https://www.nntt.jac.go.jp
バレエ&ダンス 2022/2023シーズンラインアップ 
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_022126.html