明日につなぐ新春GALA 〜プロアルテムジケ36.1周年〜

総勢32名が集い“お弾き初め”!

 こだわりのある公演を丁寧に開催し続けてきた「プロアルテムジケ」は、2020年12月に創立35周年を迎えた、国内屈指の老舗マネジメント会社である。新型コロナウイルスの影響による難しい時期を経て、22年1月、同社に所属・関連する国内アーティストが一堂に会する「明日につなぐ新春GALA 〜プロアルテムジケ36.1周年〜」の開催が決まった。豪華出演者陣による多彩な楽器や曲、ユニークな編成が体験できる“珍しいおせち料理のようなイメージ”という。全部を紹介することはできないが、できるだけその豪華さを伝えてみたい。

 クラシック音楽ファシリテーター・飯田有抄の司会で進行するプログラム。オープニングを務めるのは、各地で充実した活動を展開する若き名手、ヴァイオリンの石上真由子。曲はなんとイザイの無伴奏ソナタ第3番「バラード」で、イザイ同様に名奏者・作曲家だったエネスコに捧げられた、妖気漂う傑作。これを石上の濃密な表現と名技で聴けるのは好機で、一気に会場を盛り上げてくれそうだ。続いて、石上のほか、杉浦美知、永峰高志、森岡聡と若手からベテランまでそろったメンバーによるヴィヴァルディの4本のヴァイオリンのための協奏曲op.3-10も貴重な共演となる。

 経験豊富な名ピアニストたちが一夜限りの共演を果たす、2台ピアノ編曲作品も目を引く。熊本マリと白石光隆によるコープランド「エル・サロン・メヒコ」、久元祐子と渡辺健二によるモーツァルト《魔笛》序曲、それぞれの個性が出るパフォーマンスで会場を沸かせそうだ。

 また、同社の誇るアーティスト陣の中でも中心的な存在が、ピアノ・デュオとして活躍する中井恒仁と武田美和子である。それぞれがソリストとして優れた存在だが、二人がパートナーとして組んだとき、さらに深い表現が実現する。この日はラフマニノフの組曲第2番の「タランテラ」と歌曲「ここはすばらしい」(バビン編)でその本領を味わえる。

 マリンバの魅力を広く伝える活動に励む、浜まゆみの登場もまた注目。フルートの森岡有裕子とのボルヌ「カルメン幻想曲」では、それぞれの楽器の技巧と魅力を伝えてくれるはず。オペラ・ユニット「カントキューブ」(テノール隠岐速人、バリトン高橋洋介、バス後藤春馬、ピアノ長井進之介)も登場し、〈ムーン・リバー〉〈君と旅立とう〉でムードを一変させる。

 サクソフォンの名匠、田中靖人が、白石光隆のピアノとともにクレストンのソナタ(第2・3楽章)を聴かせるのも嬉しい。最後は、京谷弘司クァルテート・タンゴによるピアソラ「リベルタンゴ」「タンガータ」が華やかに一夜を締めくくる。

 上記のほかにも楽しみな出演者と演目が多数あるので、ぜひ公演情報を確認して会場に足を運んでいただきたい(同伴者割引もあるとのこと)。

 「どのような社会情勢にあっても、音楽を通じて、皆さまに未来への希望をお届けしたい」との主催者の想いから実現した当公演。音楽界を支えてきたベテランから若き俊才までがそろう「GALAコンサート」を心から楽しむことで、“生の音楽のある日常”を共有する新春の一夜になる。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年1月号より)

2022.1/13(木)18:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
https://www.proarte.jp