【SACD】イントラーダ/長谷川智之

 2017年からN響の首席奏者を務める名手・長谷川智之のソロ・デビュー・アルバム。20世紀を中心としたオリジナル作品が並ぶ、本格的内容となっている。全体に、N響首席ならではの強靭で幅広い音色と安定度抜群のテクニックが光っており、ナチュラルな表現と佐野隆哉の的確なピアノも相まって、安心して身を委ねることができる。なかでも技巧鮮やかで音色輝かしいベーメの小品がまず魅力的。さらに特筆すべきはイウェイゼンの三重奏曲で、トランペット、ヴァイオリン、ピアノの珍しい組み合わせが生み出す絶妙なサウンドと絡みが、清新な室内楽体験をもたらしてくれる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年1月号より)

【information】
SACD『イントラーダ/長谷川智之』

オネゲル:イントラーダ/エネスク:レジェンド/ビッチュ:ドメニコ・スカルラッティの主題による4つの変奏曲/グラズノフ:アルバムブラット/ベーメ:ロシアの踊り、ナポリ風タランテラ/イウェイゼン:トランペット ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲

長谷川智之(トランペット/コルネット)
佐野隆哉(ピアノ)
近藤薫(ヴァイオリン)

妙音舎
MYCL-00006 ¥3520(税込)