代表作「映像の世紀」組曲も披露!
ピアノの詩人と呼ばれる加古隆。パリで学び、クラシック、現代音楽、ジャズを基盤にしたその抒情的な感性は、映画『大河の一滴』、ドラマ『白い巨塔』など数多くの映像音楽を生み出してきた。中でもドキュメンタリー番組『映像の世紀』(1995〜96)の音楽は、加古の代表作と言えるだろう。同番組は繰り返し再放送されるほど、今も人気が高い。
「僕も驚いています。良い作品が長く生きるのは音楽も番組も同じですね。『映像の世紀』のために、音楽ディレクターから100曲欲しいと言われまして。そう言えば10曲くらい書いてくれるだろうという魂胆だったようですが、僕は真面目だから100曲ちゃんと書いたんです(笑)」
中でもメインテーマ〈パリは燃えているか〉は多くの人々から愛される名曲だ。
「“100年と世界”という壮大なテーマ、そして印象に残るメロディというリクエストにより作りました。最初メロディが浮かんだ時は寂しい楽想で番組には不向きかと諦めていたんです。そこに番組冒頭のオープニングCGが送られてきて、そのリズムとテンポに合わせて弾いたらピッタリでした」
12月24日のコンサートでは、組曲「映像の世紀」が披露される。
「組曲は〈パリは〜〉を軸に、番組で流れた曲からカルテットでの演奏を踏まえ、厳選した12曲をまとめたものです。〈パリは〜〉から始まり、曲と曲の間を〈パリは〜〉のアレンジで繋いでいく。カルテットで重厚に、あるいはピアノソロで静かにと、多彩な景色をお見せしたい。
他にもコンサートでは、映像音楽やレパートリー曲、またクリスマスイブということで〈アヴェ・マリア〉を演奏します。皆さんとクリスマスをともに祝えたら楽しいでしょうね」
加古がカルテットを組んだのは10年前。ソロでは弾けないオーケストラ曲やジャズ曲など、多岐にわたるスタイルをステージで演奏することが目的だったという。
「僕のカルテットの特色の一つは配置。伝統的なカルテットのように弦楽器がこぢんまりと並ぶのではなく、ステージに向かって左側にヴァイオリン、右側にヴィオラ、ピアノは真ん中で、その前にチェロ。僕の音楽では全員が主役です。それぞれにソロがあり、多様に混ざり合い、全員が弾くとオーケストラのように響くんです」
何よりもコンサートを大事にしてきた加古。12月のコンサートはコロナ禍による二度の延期を経て、実現する。
「生の音楽は、命そのもの。それを直接お届けするのが音楽家の使命だと思います。この強い思いを演奏に込めて、心が震えるひと時、生きている喜びを、観客の皆さんと一緒に分かち合いたい」
【コンサート情報】
加古隆クァルテット結成10周年記念コンサート ~組曲「映像の世紀」~
[大阪公演]2021.12/10(金)18:30 いずみホール
問:キョードーインフォメーション0570-200-888
[愛知公演]12/12(日)14:00 三井住友海上しらかわホール
問:中京テレビ事業052-588-4477
[東京公演]12/24(金)18:30 Bunkamuraオーチャードホール
問:キョードー東京チケットセンター0570-550-799
〈演奏予定曲目〉
第1部:ベストメロディー・セレクション
大河の一滴、白い巨塔、それぞれの海、ハ短調「幻影」(新曲)、アヴェ・マリア、テンペスト
第2部:組曲「映像の世紀」
パリは燃えているか、神のパッサカリア、愛と憎しみの果てに、睡蓮のアトリエ、他
※ 演奏曲目は変更になる場合がございます
【CD情報】
加古隆クァルテット結成10周年記念アルバム
『QUARTET III ~組曲「映像の世紀」~』
加古隆:組曲「映像の世紀」、花は始めも終りもよろし、アヴェ・マリア〜聖なるもの、母なるもの〜
加古隆クァルテット
【加古隆(ピアノ) 相川麻里子(ヴァイオリン) 南かおり(ヴィオラ) 植木昭雄(チェロ)】
エイベックス・クラシックス
AVCL-84119 ¥3300(税込)
【出演番組】
「街角ピアノ・軽井沢編」
NHK-BS1 12/8(水)20:00〜20:49
加古隆オフィシャルサイト
https://takashikako.com