日本の音楽界のリーダー格3人によるソロと共演
東京文化会館の小ホールを舞台にトップレベルのアーティストたちが集うプラチナ・シリーズ。この11月にはピアノの野平一郎、ヴァイオリンの堀正文、チェロの堤剛が一堂に会してトリオを組む。日本の音楽界を背負ってきた重鎮たちが顔をそろえ、まさしく「プラチナ」の名にふさわしいトリオが実現する。曲はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」(野平/堀)、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」(野平/堤)、そして3人がそろうベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」。真の傑作が並ぶ。
野平はこの9月に東京文化会館の音楽監督に就任したばかり。「東京文化会館は音楽家を育んできただけでなく、クラシック音楽の新しい聴衆をも生み出したホール」と語り、同館にさらなる発展をもたらすことが期待されている。「プラチナ・シリーズは東京文化会館が主催する室内楽の重要な柱の一つ」と位置付ける野平が、理想の共演者を得て自らトリオを組むことになった。プログラムについて、野平は「何よりも、このメンバーでベートーヴェンの『大公』トリオを演奏したかった」という。「大公」を軸に、同時代の作品として「春」と「アルペジオーネ・ソナタ」が組み合わされた。
昨年のベートーヴェン・イヤーはコロナ禍で不完全燃焼に終わった感があるが、ここに来てレジェンドたちの「大公」を聴く好機が到来。格別の味わいをもたらしてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年10月号より)
2021.11/20(土)15:00 東京文化会館(小)【予定枚数終了】
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp