小林響(ヴァイオリン)のブラームス

ロマン派ソナタの最高峰を品位ある演奏で堪能

 ブラームスのヴァイオリン・ソナタ3曲をまとめて聴くのは、充実した音楽体験だ。メランコリックな第1番「雨の歌」、親しみやすい第2番、劇的な第3番…と各々に個性があり、同作曲家の多様な魅力を一挙に堪能できる。むろん演奏には堅牢な技術と深い音楽性が求められるが、5月に3曲を弾く小林響なら申し分ない。16歳でデビューし、トロント王立音楽院を首席で卒業した彼女は、フランス国立放送フィル、ボロディン四重奏団、シュタルケル、ダン・タイ・ソン等々と共演し、カナダのA・レブランク四重奏団の第1ヴァイオリン奏者も務める実力者。2009年にはサントリーホールでA・フィッシャー指揮ハイドン・フィルと共演して絶賛され、A・レブランク四重奏団ではショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲のCD録音も行っている。トロントで活躍するピアニスト、モニック・ディ・マージェリーも帯同する今回は、小林の真価をじっくりと味わえる貴重な機会。趣向が異なる地方公演ともども、聴き逃すことができない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年5月号から)

★5月31日(土)・JTアートホールアフィニス Lコード:31990
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