欧州で活躍中の指揮者が日本の俊英と共演
9月9日に開催される都響の定期演奏会Bシリーズは、当初の予定を変更して指揮のデイヴィッド・レイランドとピアノの北村朋幹を招く。都響初登場のレイランドはベルギー出身の実力者。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の副指揮者を経て、現在はフランス国立メス管弦楽団(旧フランス国立ロレーヌ管弦楽団)およびローザンヌ・シンフォニエッタで音楽監督を務める。また、2020年にはデュッセルドルフ交響楽団の「シューマン・ゲスト」に任命されている。これはシューマンゆかりの同地のオーケストラならではの客演指揮者の役割で、シューマンとオーケストラとの結びつきに焦点を当てるものだという。
そんなレイランドが披露するのは、シューマンの歌劇《ゲノフェーファ》序曲、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番ハ短調(独奏は北村朋幹)、そしてシューマンの交響曲第2番ハ長調というハ短調/ハ長調プログラム。ピアノ協奏曲第24番はモーツァルトの貴重な短調作品として異彩を放っているが、はたして北村はどんなモーツァルトを奏でてくれるのか。北村は古典から現代作品まで非常に音楽的視野の広いピアニスト。カデンツァには作曲者自身の作が残されていないが、だれのものを使うのかも楽しみだ(自作の可能性も!?)。シューマンの交響曲第2番は作曲者独自の濃密なロマンと古典への憧憬から生まれた大傑作。デュッセルドルフでも同曲を指揮したレイランドが、シューマンの真髄を聴かせてくれることを期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年9月号より)
第934回 定期演奏会Bシリーズ
2021.9/9(木)19:00 サントリーホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp