バッハからロマン派まで、みずみずしい感性で描き出す
日本のクラシック音楽界をこれからリードしていくことになる若手演奏家が次々と出演することで、多くの音楽ファンの注目を集めているトッパンホールの「ランチタイムコンサート」。まさに昼どきの12時15分スタート、その第110回公演(6/17)にピアニストの尼子裕貴が出演する。
実は、尼子は昨年11月の同コンサートにヴァイオリンの東亮汰の共演ピアニストとして出演した。その時のブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番の演奏では、ドイツ音楽の王道と言うべき作品に真剣に向き合い、みずみずしい歌心と柔軟な音楽性に満ちた演奏が高く評価された。そして今回は、ソロでバッハとロマン派の作品を取り上げることとなった。バッハの「トッカータ ホ短調 BWV914」、シューベルトの「4つの即興曲集 D899」より第3番、そしてブラームスの「4つの小品 op.119」というラインナップだ。コンサートには「バロックからロマン派へ〜音楽の歴史に歌を重ねて」というサブタイトルがつけられている。
尼子は桐朋学園大学に特待生として在学中で、第87回日本音楽コンクール第3位に入賞、岩谷賞(聴衆賞)を獲得するなど活躍をみせており、ソロだけでなく室内楽にも積極的に取り組んでいる。鍵盤楽器のための作品の中に潜む“歌”の魅力を新鮮な感性で描き出す、彼の演奏に触れてみよう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2021年6月号より)
2021.6/17(木)12:15 トッパンホール
※事前申込制
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
https://www.toppanhall.com