遠出もなかなか難しい今年のゴールデンウィーク。海外旅行もしばらくお預けとなりそうですが、そのぶん自宅でコンサート動画配信を観て楽しみましょう! 編集部のおすすめ動画をまとめました。最近おこなわれたばかりの公演も盛りだくさんです。
(ベルリン・フィルの配信は現地時間5/4まで、また新国立劇場「コッペリア」も配信日時が決まっているので注意!)
♪ラファエル・ピション(指揮) アンサンブル・ピグマリオン
J.S.バッハ:マタイ受難曲
Raphaël Pichon & Pygmalion
Johann Sebastian Bach: Saint-Matthew Passion BWV244
収録:2021年3月31日
配信期間:2021年7月1日まで 169分
この春、エクス=アン=プロヴァンス・イースター音楽祭の公演としておこなわれた無観客ライブ。ユリアン・プレガルディエンのエヴァンゲリストは落涙もの。これほど温かく、哀しみに満ちた物語の語り手がいただろうか。イエスを歌うステファヌ・ドゥグーのほか、ソプラノのサビーヌ・ドゥヴィエルらソリスト陣も素晴らしい。若手中心の合唱は前後左右にかなりバラけての配置で、残響の多い教会での演奏は非常に困難だったと想像されるが、そんなことは微塵も感じさせない見事なアンサンブル。美しい教会内部の映像も印象的。
♪キリル・ペトレンコ(指揮)ベルリン・フィル イースター・コンサート
Kirill Petrenko Conducts Rachmaninov and Tchaikovsky
Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Romeo and Juliet Fantasy Overture
Sergei Rachmaninov: Symphony No.2 in E minor op.27
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27
収録:2021年3月20日
配信期間:2021年5月4日まで 85分
観客全員が抗原検査を受けて入場した3月のPilot Project公演。久しぶりにホールで生の演奏を耳にする1000人の聴衆の熱気が冒頭から伝わってくる。しかし、改めて聴くベルリン・フィル、すごすぎる! 映像・録音も含め“すべてが超一流”とはこのことか。配信は5月4日まで(観逃した方は、ベルリン・フィル デジタル・コンサートホールでも有料で観られます)。
♪アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル in ヴィチェンツァ
J.S.バッハ、モーツァルト、ブラームス、シューマン、ベートーヴェン
Omaggio a Palladio András Schiff Piano Recital
Johann Sebastian Bach: Prelude and Fugue in B minor BWV869 from Well-Tempered Clavier Vol.1
Wolfgang Amadeus Mozart: Adagio in B minor K.540
Johannes Brahms: Nos.1-3 from Four Pieces op.119
Johannes Brahms: No.1 from Three Intermezzi op.117
Robert Schumann: Theme and Variations in E-flat major (Geistervariationen) WoO 24
Ludwig van Beethoven: Piano Sonata No.30 in E major op.109
Johann Sebastian Bach: Aria from Goldberg Variations BWV988
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より 前奏曲とフーガ ロ短調 BWV869
モーツァルト:アダージョ ロ短調 K.540
ブラームス:4つの小品 op.119より 第1曲〜第3曲
ブラームス:3つ間奏曲 op.117より第1曲
シューマン:精霊の主題による変奏曲 WoO 24
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988より アリア
収録:2021年5月1日
97分
シフが毎年この時期に参加している伊ヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコでの音楽祭 Omaggio a Palladio の一環としておこなわれたリサイタル(5/1)。当初カペラ・アンドレア・バルカとの共演が予定されていたが、オーケストラ公演は断念し単独リサイタルに。1859年製ブリュートナーを持ち込んだ。本人は「オンラインは嫌い」とステージ上で述べているが、COVID蔓延の状況下では、こうしてライブ配信を日本からでも観られるのは本当にありがたい。5月2日20時(日本時間5/3 午前3時)からは、エーリヒ・へーバルト(ヴァイオリン)、クリストフ・コワン(チェロ)とのトリオ公演もライブ配信予定(アーカイブもあり)。
♪ビョルン・シュメルツァー(指揮)グランドラヴォア
ジョスカン・デ・プレ:スターバト・マーテル
Björn Schmelzer & Graindelavoix
Josquin des Prez: Stabat mater
収録:2017年8月
9分
今年は、レオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同じ時代を生きた、ルネサンス最大の作曲家ジョスカン・デ・プレ没後500年のアニヴァーサリー・イヤー(もっと盛り上がってくれ!)。ジョスカンの数ある宗教曲のなかでも天上的な美しさで知られるモテット。いまヨーロッパでもっとも先進的な古楽アンサンブルのひとつ、ベルギーの「グランドラヴォア」による演奏は、こぶしも交え実にプリミティヴなテイスト。ブリュッセルでのライブ録音(動画でないのが残念)。
♪テオドール・クルレンツィス(指揮) パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)ヘルムート・ラッヘンマン(語り)SWRシュトゥットガルト放送交響楽団
Teodor Currentzis & SWR Symphonieorchester
Patricia Kopatchinskaja, violin
Helmut Lachenmann, narration
Helmut Lachenmann: „… zwei Gefühle …“, Musik mit Leonardo
John Dowland: Weep you no more, sad fountains
Dmitri Kourliandski: possible places für Violine und Orchester
Heinrich Ignaz Biber: Battalia für Streicher und Basso Continuo (Hrsg. von Nikolaus Harnoncourt)
Giacinto Scelsi: Anahit, Lyrisches Poem über den Namen der Venus für Violine und 18 Instrumente
ラッヘンマン:2つの感情
ダウランド:もう泣かないで、悲しみの泉よ
クルリャンツキー:possible places[SWR委嘱新作初演]
ビーバー(編曲:N.アーノンクール):バッターリャ
シェルシ:アナヒット
収録:2020年9月18日
71分
SWR響の2020/21シーズン開幕公演。クルレンツィスの手にかかれば、プログラムも一筋縄ではいかない、というかもはや異次元。ラッヘンマンが自らナレーションを務める「2つの感情」でスタート。そして、ダウランドでは何とクルレンツィスとコパチンスカヤが歌う! そのほか、刺激的なビーバーの「バッターリャ(戦争)」にクルリャンツキー(1976- )の新作初演、そしてシェルシ(1905-1988)の作品もあり。16、17世紀と現代を自在に行き来する。
♪エベーヌ弦楽四重奏団
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第5番・第4番・第12番
Quatuor Ebène
Beethoven: String Quartets Nos.5, 4 & 12
収録:2020年12月17日
配信期間:2021年6月16日まで 97分
21世紀のクァルテットの最高峰と言っても差し支えないエベーヌ弦楽四重奏団のPhilharmonie de Parisでの無観客ライブ。圧倒的な集中力で聴かせるベートーヴェンは実にスリリング。しかし、演奏とともに圧巻なのが、セバスティアン・グラスの映像。オープニング映像は何度観てもしびれる。ちなみに、エベーヌの映像といえば2019年のアジアツアーのときのPVもなかなか楽しい。
♪新国立劇場バレエ団『コッペリア』
■新国立劇場バレエ団『コッペリア』無観客ライブ配信
5/2(日)14:00
出演:米沢 唯(スワニルダ)/井澤 駿(フランツ)/中島駿野(コッぺリウス)
5/4(火・祝)14:00
出演:木村優里(スワニルダ)/福岡雄大(フランツ)/山本隆之(コッぺリウス)
5/5(水・祝)14:00
出演:池田理沙子(スワニルダ)/奥村康祐(フランツ)/中島駿野(コッぺリウス)
5/8(土)14:00
出演:小野絢子(スワニルダ)/渡邊峻郁(フランツ)/山本隆之(コッぺリウス)
↓YouTubeに移動して再生してください↓(新国立劇場YouTubeチャンネル)
新国立劇場バレエ団『コッペリア』の無観客無料ライブ配信が決定! フランスの振付家ローラン・プティ(1924 – 2011)の代表作の一つで、同バレエ団では2007年以来上演されている人気演目。オッフェンバック《ホフマン物語》第2幕と同じ、E.T.A.ホフマン作『砂男』を題材にした作品で、オペラファンも楽しめる演目。5月に上演予定していた全4キャスト4公演が配信され、 吉田都芸術監督が「今回デビューのダンサーたちもおりますし、同じ作品、振付でもキャストが変わるとこんな にも違うのだということを楽しんで頂けると思います」とメッセージ。
♪イェーテボリ交響楽団メンバー
ベートーヴェン:オーボエ、3本のホルン、ファゴットのための木管五重奏曲
Lisa Ford, horn / Kristina Borg, horn / Ingrid Kornfält Wallin, horn / Carolina Grinne, oboe / Constantin Gerstein, bassoon
Beethoven: Quintet for oboe, three horns and bassoon WoO208
配信期間:2022年4月29日まで 12分
イェーテボリ交響楽団の配信GSO Playの最新動画。あまり聴く機会のないベートーヴェン若き日の木管五重奏曲(未完/レオポルト・ツェルナーの補筆版)。ホルン3本のハーモニーに優美なオーボエとファゴットが加わり、精緻なアンサンブルを聴かせる。
♪セルゲイ・ハチャトゥリアン(ヴァイオリン) クリスティアン・マチェラル(指揮)オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
Sergey Khachatryan, violin
Cristian Măcelaru & Radio Filharmonisch Orkest
Johannes Brahms: Violin Concerto in D major op.77
収録:2021年4月16日
アルメニア出身のヴァイオリニスト、セルゲイ・ハチャトゥリアンがユトレヒトでオランダ放送フィルと共演。常に、伸びやかな音色で感情の襞を繊細に描き出す彼らしいブラームス。