歌心と技巧で彩られた充実のプログラム
新緑の季節に相応しい、瑞々しい調べに身を浸したい。西川豪は、巨匠フェリックス・アーヨが「“表現豊かな音楽性、確かなテクニック、美しい音”のすべてを備えている」と絶賛する実力派ヴァイオリニスト。フランクとベートーヴェン、シューマンの傑作に対峙する、意欲的なリサイタルを開く。
東京都出身。母・素村裕子の手ほどきでヴァイオリンを始め、東京藝術大学・同大学院修士課程に学んだ。2011年にリサイタル・デビューし、翌年には「四季」の世界的大ヒットで知られる、イ・ムジチ合奏団の初代リーダーで、母の恩師であるアーヨと共演。以降も精力的に活動する一方、2枚のCDも高い評価を受けている。
ステージは、1997年からアーヨと共演を重ねるピアノの岩船今日子と。今回の共演も、巨匠から強く勧められて実現したという。近代のヴァイオリン・ソナタを代表する存在であるフランクの佳品に、すがすがしい空気に溢れるベートーヴェンの第5番「スプリング」、そして、歌心に満ちたシューマン「3つのロマンス」を弾く。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年5月号より)
2021.5/23(日)14:00 小金井 宮地楽器ホール
問:岩船090-3914-9624