1965年、パリ生まれ。パリ・オペラ座の歌手だった母から声楽の手ほどきを受け、ナンシー音楽院で声楽とピアノ、バスーンを学ぶ。その後、パリ・オペラ座のマスタークラスで、クリスタ・ルートヴィヒに学び、さらにハンス・ホッターのもとで4年間にわたるドイツ・リートの研鑚を積んだ。
現代もっとも優れた音楽家の一人に挙げられるナタリー・シュトゥッツマンは、コントラルト歌手とオーケストラ指揮者の2つのキャリアで活躍している。自由さと厳密さを併せ持つ彼女のアプローチ、フレージングの知識、そして演奏に込められた激しい感情。これらが聴衆からも、彼女が指揮するオーケストラからも絶大な支持を集めている。
2023年バイロイト音楽祭にて、《タンホイザー》を指揮。オクサーナ・リーニフに続いて、同音楽祭史上2人目の女性指揮者となった。
指揮者としてモンテカルロ歌劇場では2014年のドニゼッティ「愛の妙薬」の公演後直ちに2017年のワーグナー「タンホイザー」の指揮を頼まれ、モーツァルトの「レクイエム」を指揮したサンパウロ響からは、今後複数の再演計画が進んでいる。その他、ロイヤル・ストックホルム・フィル、デトロイト響、ワシントン・ナショナル響、シアトル響、ロンドン・フィル、新日本フィル、水戸室内管、セイジ・オザワ松本フェスティバルなどから招かれている。
指揮をフィンランドの伝説的指導者ヨルマ・パヌラに師事し、小澤征爾とサイモン・ラトルからも指導を受けた。2009年には自身の室内オーケストラ、オルフェオ55をフランス、メスのアースナルに設立。
歌手としてはマーラー作品の歌唱には特に定評があり、最近では、サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル、ユッカ=ペッカ・サラステ指揮オスロ管、クリストフ・エッシェンバッハ指揮ワシントン・ナショナル響、大野和士指揮ロンドン・フィルなどと共演している。また、リサイタルでも高く評価されており、長年にわたりスウェーデンのピアニスト、インゲル・ゼーデルグレンと共に世界各地で公演している。
フランス共和国は彼女に芸術文化勲章と国家功労勲章を授与している。また、ジュネーヴ州立高等音楽院の教授として後進の指導にもあたっている。
現在、オルフェオ55芸術監督、パリ室内管弦楽団アソシエイトアーティスト。
コンサート情報
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