チャイコフスキー作品の深層に光をあてる
東京文化会館の人気シリーズで、魅力的な演奏家と東京都交響楽団が共演する《響の森》。今回は、指揮者の沼尻竜典とピアニストの小菅優をゲストに迎え、新年の幕開けを高らかに祝うニューイヤーコンサート。共にドイツでも活躍する実力者2人がプログラムに選んだのは「オール・チャイコフスキー」。「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ、ピアノ協奏曲第1番、そして交響曲第5番と、重量級の名曲が並ぶ。協奏曲でソロを弾く小菅は、この作品について「ただ派手で綺麗なだけでなく、管楽器との対話など、室内楽的な要素も魅力。外は極寒でも人々の心は温かいというロシアの民族性を表現したい」とコメント。一方、ロシア音楽に造詣が深い沼尻も、「チャイコフスキーには独特の視線の鋭さと狂気があり、演奏者はそれに負けてはいけない」と語る。3曲いずれにおいても、音楽の深層に光をあてながら、繊細で複雑な感情の綾を描き出してくれることだろう。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2013年11月号から)
★2014年1月3日(金)・東京文化会館 Lコード:34253
問東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
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