これぞまさに白熱のライヴ！ 40年ぶりの再録音となるムター＆ヨーヨー・マにバレンボイムが加わった三重協奏曲は、豊かな歌と覇気が漲る峻烈な競演。各ソロは刻みでさえも生気を放ち、個の主張と絡み合いと融合を絶妙なバランスで果たしていく。これは名手が全力で奏でれば実に面白い曲であることを再認識させる、“三重”協奏曲の醍醐味に溢れた演奏であり、ハイテンションのバックを含めて“21世紀のベスト”と称すべき名演だ。交響曲第7番は弦をたっぷり鳴らした堂々たる表現がバレンボイムならでは。ともあれ本盤は「トリプル」だけで購入の価値あり！
文：柴田克彦
（ぶらあぼ2020年6月号より）
【information】
CD『ベートーヴェン：三重協奏曲／アンネ＝ゾフィー・ムター＆ヨーヨー・マ＆ダニエル・バレンボイム』
ベートーヴェン：ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調、交響曲第7番
アンネ＝ゾフィー・ムター（ヴァイオリン）
ヨーヨー・マ（チェロ）
ダニエル・バレンボイム（ピアノ/指揮）
ウェスト＝イースタン・ディヴァン管弦楽団
収録：2019年10月、ベルリン（ライヴ） 他
ユニバーサル クラシックス
UCCG-1867 ￥2800＋税