東京文化会館 オペラBOX オペラ 《泣いた赤おに》

心を打つ児童文学の名作による日本オペラ、4年ぶりの再演


 人間と仲良くなりたいと願っていた、心優しい赤鬼。しかし、その姿ゆえ、誰も近づこうとしない。そんな赤鬼を不憫に思った親友の青鬼が「自分が悪者のふりをして村で暴れ、君が退治したら、人間と仲良くなれるはず」と提案。策は功を奏し、赤鬼は人間たちと仲良しに。しかし、赤鬼が訪ねると、青鬼の家に彼の姿はなかった…。

 浜田廣介による、児童文学の傑作『泣いた赤おに』。昭和8(1933)年に発表されて以来、子どもだけでなく、大人たちの心も捉え続けてきた。これを原作とする、松井和彦の台本・作曲によるオペラ《泣いた赤おに》(全1幕4場)は、名作オペラを小空間で気軽に楽しむ東京文化会館のシリーズ「オペラBOX」の一環で、2015年に初演。その好評を受けて、4年ぶりとなる同シリーズでの再演が決定した。

 初演の舞台も手掛けた久恒秀典の演出、作曲者の松井が指揮。宮里直樹(赤おに、テノール)と岡昭宏(青おに、バリトン)をはじめ、龍進一郎(木こり、バリトン)、盛田麻央(木こりの娘、ソプラノ)ら東京音楽コンクール入賞者を中心とした若手実力派が、主要キャストを演じる。

 そして、歌と話を交え、“舞台回し”をこなすナレーターには、日本を代表するソプラノの一人、高橋薫子を迎える。さらに、連携企画として同会館が開いているワークショップ「オペラをつくろう!」を受講する子どもたちが、舞台美術の製作や合唱・合奏で参加、ヴァイオリンの岸本萌乃加ら器楽陣がバックアップ。フリーアナウンサーの朝岡聡が、プレトークで案内役を務める。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年7月号より)

2019.9/22(日)、9/23(月・祝)各日15:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
https://www.t-bunka.jp/