テノールの世界 〜輝ける歌声〜

日本を牽引するテノール3人が集結、真夏に響く熱き歌声


 サントリーホールに、現在の日本オペラ・シーンを牽引する3人のテノールが集結し、それぞれ輝かしい歌声を披露する夢のステージ。独・伊・仏の人気オペラからの名アリアや歌曲を歌い分ける華麗なステージだ。誰がどの曲を歌うのかは当日発表とのことで楽しみは膨らむ。

 顔ぶれの筆頭は2000年にウィーン国立歌劇場にデビュー以来、クラシック・ファン以外にも抜群の知名度を誇るジョン・健・ヌッツォ。近年はドミンゴやホルン奏者のバボラークらスターとの共演でも話題を集め、ドイツ歌曲の分野でも高評価を得ている彼の幅広いレパートリーに期待したい。続いては新国立劇場や東京二期会を中心として着実にキャリアを積み重ね、日本を代表するテノールとしてトップをひた走る樋口達哉。今年も《金閣寺》の柏木役で絶賛を博したばかりの彼が、イタリアの太陽に例えられる明るい歌唱で本公演の花形となるのは間違いない。そして藤原歌劇団公演をはじめ、活躍めざましい笛田博昭。類い稀なる声と恵まれた体格を生かし、各地で常に好評を博している彼も先輩たち2人を圧倒せんばかりの存在感で魅了してくれるはず。

 歌のほかにも、東京フィルハーモニー交響楽団による演奏や、伴奏に“うた”を知り尽くした人気ピアニスト、河原忠之の起用など聴くべきところは多い。案内役でもある、作曲家の三枝成彰が編曲した〈早春賦〉〈待ちぼうけ〉〈からたちの花〉など日本歌曲も必聴だ。指揮を務めるのは特にイタリア・オペラに定評のある園田隆一郎。男たちによる盛夏の饗宴をお聴き逃しなく!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年7月号より)

2019.7/30(火)19:00 サントリーホール
問:メイ・コーポレーション03-3584-1951 
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