ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラではない。正真正銘ヴァイオリンによって演奏されたバッハの無伴奏チェロ組曲である。編曲はポッジャー自身が担当、5弦チェロで高域が多用される第6番以外は全て1オクターヴ+5度高く調弦されて演奏されている(なお、第6番では幾つかの低域フレーズでヴィオラのC弦による音が編集によって付加)。実際に聴いてみるとチェロ版とは別の曲の趣で、いつもの使用楽器であるペザリニウス1739の音色はあくまで晴朗、その表現もチェロとは異なったヴァイオリンならではの軽やかさと躍動美を追求して惚れ惚れするほど見事な演奏を披露している。必聴。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
SACD『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(ヴァイオリン版/世界初録音)/レイチェル・ポッジャー』
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番〜第6番(ヴァイオリン版)
レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)
CHANNEL CLASSICS/東京エムプラス
OCCSSA 41119(2枚組) ¥5333+税