《響の森》 Vol.44 「コバケン 名曲アラカルトⅡ」

真夏に響く爽やかな名曲たち


 上野の森にあるクラシックの殿堂、東京文化会館を会場にしたコンサート・シリーズ《響の森》。44回目となる8月には、“炎のマエストロ=コバケン”こと小林研一郎が再び登場、東京都交響楽団を指揮する。

 今回は、昨年6月の「コバケン 名曲アラカルト」企画に続く、待望の第2弾。前回はオーケストラ曲としてスメタナやブラームス作品をセレクトし、またヴァイオリニストの南紫音をソリストに迎えたベートーヴェンやサン=サーンス作品などが好評を博したのも記憶に新しい。

 今回まず目を惹くのは、ロッシーニ《セビリアの理髪師》とウェーバー《魔弾の射手》ら傑作オペラの有名な序曲たち。特に《セビリアの理髪師》は同会場で6月に開催される「ららら♪クラシックコンサート Vol.5」でも“コバケン”が東京フィルハーモニー交響楽団を指揮して演奏する予定があり、響きの違いを楽しむのも一興だ。他にもチェコ・フィルとの名盤で知られるシベリウスの交響詩「フィンランディア」や折りに触れて振り続けてきたラヴェルのボレロなど、いずれも熱きマエストロの面目躍如な演目揃い。

 そして、とっておきは昨年リサイタル&CDデビュー25周年を迎え、日本ゴールドディスク大賞を受賞したアルバム『シネマ』も好調なギタリスト、村治佳織をソリストに迎えたロドリーゴのアランフェス協奏曲。作曲者のお墨付きを貰った、彼女のキャリアを代表する楽曲だけに期待が高まる。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年4月号より)

2019.8/1(木)19:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
http://www.t-bunka.jp/