サラ・チャン ヴァイオリン・リサイタル

2つの「四季」で示す、貫禄の音楽性

C)Cliff Watt
 8歳でニューヨーク・デビュー、そして史上最年少となる10歳でのCDリリース…。かつて“天才少女”として旋風を巻き起こしたサラ・チャンも、30代半ばを迎えた今、現代アメリカを代表する“ヴァイオリンの女王”に。ヴィヴァルディとピアソラ、2つの「四季」に挑む来日公演。完璧な技巧に深い精神性を纏わせた、充実の快演を聴かせてくれる。
 10代からリサイタル活動の一方、世界各国の第一線楽団や巨匠指揮者と共演を重ねてきた。その“相棒”は1717年製の銘器グァルネリ・デル・ジェス。チャンは「楽器には、機嫌の良い日も悪い日も…演奏家は経験と学習を通じ、その心を読み取り、自身が求める響きを伝えてゆく。力強く、美しい楽器が私の代弁者なのは、とても幸運です」と話す。
 「バランスが良く、楽しいプログラム」と自負する、今回の来日公演。森田昌弘(ヴァイオリン)らN響の名手による弦楽五重奏との共演で、ヴィヴァルディ「四季」と、タンゴの巨匠ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」を披露する。
「ヴィヴァルディは定番。ピアソラの作品は、ヴィヴァルディの曲想もねじり合わされ、とてもセクシー。恋に落ちました(笑)。どちらも大好きな曲です」
 これらに先立ち、「バロックの作品ながら、優雅でロマンティック」と評するヴィターリ「シャコンヌ」を添える。「指揮者なしの今回はリスキーですが、共演者たちと一緒に正しい方向へ向かえば、素晴らしい結果に繋がるでしょう。お客様にも、それぞれに様式が異なる多彩な作品を、きっと楽しんでいただけるはず」と語る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年10月号より)

2018.10/25(木)19:00 紀尾井ホール 
2018.10/28(日)14:00 京都コンサートホール
問:テンポプリモ03-3524-1221 
http://www.tempoprimo.co.jp/

他公演
2018.10/23(火)東京文化会館(都民劇場03-3572-4311)