近藤 岳 オルガン リサイタル

クリスマスのイメージを喚起させる古今のオルガン音楽を集めて

C)Satoshi Aoyagi

 今春、リニューアル・オープンした神奈川県民ホール。43年前には日本の公立ホールとして初のオルガンが小ホールに設置され、臨場感ある演奏を体感できるとあって、広く愛されている。東京藝大・同大学院からパリに学び、作曲家としても活躍する名手・近藤岳が「待ち望む時、喜びの時」と題し、同ホールでは実に10年ぶりとなるリサイタルに臨む。
 「前回は10年前の5月、パリ留学を終えて帰国した翌年でしたが、当時のプログラムはなかなか挑戦的で、『若かったなぁ』と…」と振り返る近藤。特にフランス音楽のスペシャリストとして、国内外でのリサイタル活動のほか、オーケストラとの共演、自作を含めた新作の初演も手掛け、精力的かつ先鋭的に活動している。
 今回のリサイタルは、まず前半で、キリスト降誕を待ち望む待降節第1日曜日のためのコラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」に焦点を当てる。教会暦の冒頭を飾るこの旋律は、古今の多くの作曲家が自作の素材に。今回は「異なる作曲手腕をお楽しみいただきたい」と、バロックからシャイトとブルーンス、現代のハイラーの作品を取り上げる。
 そして、後半は、生誕110年を迎えたメシアン「主の降誕」からの6曲を軸に。ここへ「始まり、予感、新しく生まれるもの」をテーマとした自身による新作の初演、大バッハの「パッサカリア BWV582」を交える。「結果的に、プログラム全体では待降節から降誕節、いわゆるクリスマスのイメージに…」と近藤。楽器の個性を最大限に引き出し、客席と一体の親密な空間での演奏。新たな挑戦になりそう、と意気込む。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2018.9/22(土)15:00 神奈川県民ホール(小)
問:チケットかながわ0570-015-415 
http://www.kanagawa-kenminhall.com/