フランス音楽の傑作を集めて〜巨匠フルネの追憶
東京都交響楽団の第862回定期演奏会は、音楽監督の大野和士が登場して、都響永久名誉指揮者ジャン・フルネ(1913〜2008)の没後10年を記念したオール・フランス・プログラムを指揮する。フルネと都響は結び付きが深く、1978年の初登壇から、指揮活動に終止符を打った2005年のラストコンサート(引退演奏会)まで、30年近くにわたって指揮台に立った。ゆったりとした指揮姿で、そのタクトからは、香り高く、高貴な響きをもつ、繊細でニュアンス豊かな音楽が作られ、とりわけフランス音楽で持ち味を発揮した。10月の定期演奏会は、大野の指揮でそのエスプリが受け継がれる。
華やかなオーケストレーションのベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」に続いて、20世紀のピアノ協奏曲の傑作、ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」では、多彩な管弦楽と、フランスの若手リーズ・ドゥ・ラ・サールの瑞々しさと冴えた技巧も楽しみだ。
そして、今年没後100年のドビュッシーによる管弦楽のための「映像」より〈イベリア〉は、作曲家の心に浮かぶ異国情緒。スペインの昼・夜・朝の詩情が鮮やかに描かれる。ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲は、精妙さやリズムの躍動など、ラヴェルの緻密なオーケストレーションが生む洗練された響きに圧倒されるだろう。
さらに、大野の都響音楽監督就任にあたってフルネ夫人から寄贈されたマエストロ愛用の楽譜が、当日ロビーに展示される予定である。こちらも貴重な機会になりそうだ。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2018年9月号より)
第862回 定期演奏会 Cシリーズ
2018.10/13(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057
http://www.tmso.or.jp/