『サロメ』 たいらじょう × 宮田 大 アンサンブル

オスカー・ワイルドの退廃美を人形劇と音楽で表出

左:たいらじょう 右:宮田 大
C)Daisuke Omori
 『王女メディアの物語』『ハムレット』の二作の音楽劇で、東京文化会館小ホールの扇形の客席に“魔法をかけた”人形劇俳優のたいらじょう。すべての登場人物をたった一人で演じる彼が、新たにこのホールのために創作しているのはオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』。
 決して自分の愛に応えない預言者ヨカナーンに口づけするために、若く美しい自分の官能的魅力を利用してその首をとらせる姫の物語である。「『サロメ』は20代の頃に全幕上演しようとして、まだ時期尚早だと諦めた作品です。今回これを上演するチャンスが与えられて、作品が自分を待っていてくれたのだと思いました」(たいら)。
 この音楽劇のパートナーは前作『ハムレット』で共演を果たしたチェリストの宮田大。劇中の音楽の選曲は、宮田が膨大なリストを挙げて、そこからたいらが選ぶという形式で行われた。「トータルで20曲ほど登場するのですが、今回はカルテットでの演奏になります。前回は無伴奏の曲が多かったのですが、今回はより曲選びの幅も広がり、多彩になりました」(宮田)。
 ハープの山崎祐介、コントラバスの谷口拓史、オーボエの若山健太が参加。この特殊な楽器編成は、たいらがリクエストしたものだという。嬉しいのは、それまで1日限りだった上演が、『サロメ』では2日間もあること。「初日の緊張感は一生に一度しかないもの。2日目は色々なことが一気に発展して成熟した舞台になる。二回観たほうがいいですよ」(たいら)。台本はたいら自身の翻訳によるオリジナル。濃厚な世界を堪能できそうだ。
文:小田島久恵
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2019.1/19(土)、1/20(日)各日15:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
http://www.t-bunka.jp/ 
2018.9/15(土)発売