ウィーン少年合唱団

“天使の歌声”で聴く「動物の世界」と「世界の歴史・音楽」

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 1955年の初来日以来、日本との絆を深めてきたウィーン少年合唱団が今年も来日。カペルマイスターのジミー・チャン率いるハイドン組が、6月半ばまで約1ヵ月半にわたる全国ツアーを行っている。500年以上にもおよぶ歴史と伝統を継承しつつも、今という時代に寄り添ったプログラムで、私たちに音楽の素晴らしさを感じさせてくれるウィーン少年合唱団だが、今年も2つの魅力的なプログラムが組まれている。
 ツアーに先駆けて開かれた記者会見で、芸術監督ゲラルト・ヴィルトは「今年のプログラムには、アニバーサリーを迎える作曲家や音楽家の作品が多く取り上げられています。さらに今年は、ハイドン組が創立されて40年、チャン氏が生まれて40年、そして私がハイドン組の団員としてはじめて日本を訪れてから40年という記念の年でもあります」とコメント。音楽界にとってもハイドン組にとっても特別な年だけに、期待が膨らむ。
 まず、プログラムAは『ウィーン少年合唱団と動物の世界』。前半は合唱団の十八番ともいうべき聖歌やシューベルト、J.シュトラウスⅡなどの作品が並び、後半は動物にちなんだ作品が集められた楽しい内容となっている(「となりのトトロ」も!)。会見で語ったチャンいわく、「子どもたちにとって想像力を膨らませながら歌うことができるプログラム。さらに今回は動物に関する歌を7ヵ国語で歌います」とのこと。
 そしてプログラムBは『ウィーン少年合唱団と世界の歴史・音楽』。F.クープラン(生誕350年)、グノー(生誕200年)、バーンスタイン(生誕100年)といったアニバーサリーを迎える作曲家の作品のほか、世界各地の民謡などが歌われる。「300年前に作られた歌から今現在の歌まで、音楽というものが絶え間なく続いてきた流れであるということを、歌いながら学ぶことができる」とチャンはコメント。さらにネルソン・マンデラ元大統領の生誕100年にちなんで南アフリカ民謡が歌われることについて、ヴィルトは「多くの困難に直面しながら、つねに人を信頼し、赦し、共生を求めてきたマンデラ元大統領は合唱団にとって重要な象徴であり、インスピレーションの源でもあります。世界中から集まったメンバーがともに歌い、ともに生活をする私たちもまた、マンデラ氏と同じメッセージを音楽を通して届けたいと考えています」と語っている。
 なお、プログラムのうち3曲には振付つきの特別演出が施されているとのこと。音楽によるあたたかな交流のひとときを、ぜひご家族で。
取材・文:原 典子
(ぶらあぼ2018年6月号より)

ツアー開催中〜6/17(日)
札幌、大阪、高松、大町(長野)、名古屋、旭(千葉)、さいたま、川崎、横浜、東京
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
※公演によりプログラムは異なります。全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.japanarts.co.jp/wsk2018/