コルネリウス・マイスター(指揮) 読売日本交響楽団

気鋭が紡ぐ極彩色のシュトラウス・サウンド


 ドイツ出身の気鋭コルネリウス・マイスターが、首席客演指揮者を務める読売日本交響楽団の定期演奏会に登場する。マイスターはウィーン放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督を務め、2018/19シーズンからはシルヴァン・カンブルランの後任として、シュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任する。コンサートとオペラ、両面で活躍するマイスターが今回読響との共演で選んだプログラムは、オール・リヒャルト・シュトラウス。交響詩「ドン・キホーテ」と歌劇《カプリッチョ》から前奏曲と「月光の音楽」、歌劇《影のない女》による交響的幻想曲。これは新鮮味のあるプログラムではないだろうか。
 「ドン・キホーテ」ではチェロに石坂団十郎を招き、ヴィオラは読響ソロ・ヴィオラ奏者の柳瀬省太が務める。二人の名手がドン・キホーテとサンチョ・パンサとなって、多彩なエピソードを表現する。この作品に与えられた副題が「大管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」であることを思えば、後半の一風変わった選曲とのつながりも見えてくる。《カプリッチョ》の音楽が作り出す繊細なテクスチャーと、ミステリアスな《影のない女》の音楽。プログラム全体が音による幻想譚を紡ぎ出すような趣がある。外面的なスペクタクルにはとどまらない、奥行きの感じられる音絵巻として、大いに聴きごたえがありそうだ。オーケストラの高度な合奏能力が最大限に生かされることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年5月号より)

第579回 定期演奏会 
2018.6/19(火)19:00 サントリーホール
問 読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/