布谷史人(マリンバ) 協奏曲の夕べ

マリンバの更なる可能性を求めて

布谷史人 C)Claudia Hansen

 布谷史人はアメリカとドイツで学び、現在はドイツを拠点に国際的な活躍を続けるマリンビスト。数々の国際コンクールを勝ち取ってきたが、特にアストル・ピアソラに関する音楽のみを課題とする、第3回リベルタンゴ国際音楽コンクールのソロ部門において、日本人初、しかもマリンバ奏者として初となる優勝を果たしたことは話題となった。
 昨年はピアソラの作品集、クラシックの名曲による編曲作品集のCDを同時リリースし、今年2月にはこれらのレパートリーを引っ提げてリサイタルを開催。ソロ奏者として圧倒的な実力を見せつけたことが記憶に新しい。
 9月には「協奏曲の夕べ」と題し、“十八番”のピアソラ作品を含め、超絶技巧満載の作品を京都で披露する。布谷をサポートするのが、この公演のためにチェリストの上森祥平を中心に結成された「関西弦楽合奏団」。セジョルネの「マリンバと弦楽合奏のための協奏曲」では日本を代表する若きオーケストラ奏者やソリストたちによる「関西弦楽四重奏団」も布谷と共にソロパートを務める。
 プログラム中での注目は、やはりピアソラの「ブエノスアイレスの冬」だが、リコーダーのために書かれたヴィヴァルディ作品をマリンバでどう聴かせてくれるのか、また合唱作曲家として活躍目覚ましい信長貴富による新曲にも期待が高まる。“歌う”マリンビストの布谷の魅力が満載の作品となることであろう。布谷ならではの選曲が光る公演で、マリンバの更なる可能性に出会えるはず。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2017年9月号より)

2017.9/14(木)18:30 ロームシアター京都
問:アスペン03-5467-0081 
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