マーラーの名作シンフォニーで“上岡イズム”がいよいよ全開
2016年9月、新音楽監督に上岡敏之を迎えてシーズンをスタートさせた新日本フィルハーモニー交響楽団。コンサートのプログラミング(選曲・構成)や客演指揮者、ソリストなどに“上岡イズム”を注入して変革を図り、彼が指揮台に立つコンサートはやや斬新にも聞こえる演奏の評判も相まって、注目を集めてきた。特にマーラーの交響曲は、音楽監督就任前の16年3月に聴かせた第1番の演奏が実に印象深く、あちこちで独特のバランスや音の処理に驚かされたのも記憶に新しい(オクタヴィア・レコードよりライヴ録音CDが発売されている)。
上岡&新日本フィルにとってセカンド・シーズンとなる2017/18シーズンは、そのマーラーを軸としたプログラムにより、リニューアル・オープンするサントリーホールで幕を開ける。曲は交響曲第5番。第4楽章の「アダージェット」が人気を集める作品だが、そればかりではなく全曲が大きなドラマを作り上げ、各楽器がソロイスティックな妙技を披露する曲としても知られる。徐々に浸透しているであろう“上岡イズム”が、どのような演奏を生むのだろうかという期待も大きい。
そして、このコンサートにさらなる重みを加えるのは、ソリストとして登場するデジュー・ラーンキだ。近年、深みのある音楽が再評価され、来日を待つ聴衆が増えているこのピアニストが、100パーセント真摯なベートーヴェンの4番を聴かせてくれるに違いない。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2017年8月号より)
第577回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2017.9/14(木)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp/