“高原の響きの殿堂”として親しまれている軽井沢大賀ホールが、2005年のオープン時から続けている「春の音楽祭」。今や、ゴールデンウィークを舞台に、光あふれる季節の到来を告げる風物詩として、すっかり地元に定着している。
今年の音楽祭は、2009年にロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールを日本人として初めて制し、今や人気・実力ともにトップクラスの奏者として活躍する、宮田大のリサイタルで開幕を告げる。木村徹のピアノを伴い、ピアソラの「Cafe1930」や「ル・グラン・タンゴ」、ファリャ「スペイン民謡組曲」(チェロ&ピアノ版)などラテンの熱情をまとった佳品から、ラフマニノフのソナタやカサド「愛の言葉」と不朽のチェロ名曲まで、多彩に披露。新たな境地を拓く(4/29)。
そして、東京フィルハーモニー交響楽団が、2010年に第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで女性初の入賞となる準優勝を果たし、現在はヴェネツィアを拠点に、国際的な活動を展開する三ツ橋敬子に率いられて登場。ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」やグリンカの歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲に加えて、昨年ハンガリーで開かれたフランツ・リスト国際ピアノコンクールを制した俊英・阪田知樹をソリストに迎えてのラフマニノフの協奏曲第3番を披露する(5/3)。
また、今年は“天使の歌声”で知られる、ウィーン少年合唱団も軽井沢へと降臨。カペルマイスターのルイス・ディ・ゴドイのタクトにより、フォーレ「ピエ・イエズ」などクラシックから、「アメイジング・グレイス」など黒人霊歌、さらに、ゴダイゴの大ヒット曲「ビューティフルネーム」や東日本大震災の復興応援ソングである「花は咲く」など日本の歌まで、珠玉の名旋律の数々を美しいハーモニーで綴る(5/5)。
さらに、ヴァイオリンの依田真宣や瀧村依里、チェロの加藤陽子ら東京音楽コンクールの優勝者・入賞者をはじめ、楽壇の第一線で活躍中の気鋭の演奏家が集結し、「軽井沢チェンバーオーケストラ」を特別に組織。ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第3番」やメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」、ハイドン「弦楽四重奏曲第17番」ほか、室内楽の名曲を鮮烈なサウンドで紡ぎ上げる(5/7)。
このほか、岩崎宏美のボーカルと、ジャズピアノの国府弘子との顔合わせによる「二人の聖母(マドンナ)」のステージ(4/30)や、本場ブラジルでも高い評価を受ける小野リサの涼やかな歌声を愉しむボサノヴァのライヴ(5/4)も開催。長い歴史を誇る高原のリゾートは期間中、ジャンルを超えた美しいハーモニーと、華やかな雰囲気に包まれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
4/29(土・祝)15:00 宮田 大
5/3(水・祝)16:00 三ツ橋敬子(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団
5/5(金・祝)15:00 ウィーン少年合唱団
5/7(日)14:00 軽井沢チェンバーオーケストラ
軽井沢大賀ホール
問:軽井沢大賀ホールチケットサービス0267-31-5555
http://www.ohgahall.or.jp/2017spring/