ヴィオッティ×東響 ウィーン音楽の核心へ迫る古典プログラム

ロレンツォ・ヴィオッティ ©T.Tairadate

 第4代音楽監督に就任したロレンツォ・ヴィオッティのもと、東京交響楽団は新章を迎えた。5月に開かれた就任披露公演では、マーラーの交響曲第1番「巨人」とラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」を中心としたふたつのプログラムで大成功を収めている。客席の熱狂ぶりは、東京の音楽シーンに新たな黄金コンビが誕生したことを強く印象付けた。

 そんなヴィオッティと東響が9月13日に披露するのはウィーン音楽プログラム。スッペの喜歌劇《詩人と農夫》序曲、モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」、シューベルトの交響曲第2番という名曲が並んだ。大編成オーケストラの機能美を追求するような就任披露公演とは打って変わって、古典的なプログラムが組まれる。

 モーツァルトやシューベルトは東響にとって得意のレパートリー。柔軟で生気にあふれた名演をこれまでに数多く重ねてきた。前任のジョナサン・ノット、さらにその前のユベール・スダーン音楽監督時代から築き上げてきた礎があり、このオーケストラが強みを発揮する分野といってよいだろう。

 一方、ヴィオッティにとってもウィーンの音楽は特別なレパートリーだ。スイス出身で、父はイタリア人、母はフランス人という多文化を背景に持つが、ウィーンで学び、ウィーン・フィルともくりかえし共演する音楽家でもある。そんなヴィオッティの音楽観と東響の流儀が出会ったときに、どんな音楽が生まれるのか。鮮烈な体験を期待せずにはいられない。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2026年8月号より)

ロレンツォ・ヴィオッティ(指揮) 東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第152回
2026.9/13(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
https://tokyosymphony.jp

他公演
9/12(土) ミューザ川崎シンフォニーホール(044-520-0200)
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/