常識の枠を超えて響き合う二つの才能──コパチンスカヤ&ソル・ガベッタがTOPPANホールで旋風を巻き起こす

左:パトリツィア・コパチンスカヤ/右:ソル・ガベッタ ©Julia Wesely

 5年ほど前にリリースされたコパチンスカヤとガベッタによるアルバム『SOL & PAT』は強烈だった。「鬼才」の刻印も深いヴァイオリニストとチェリストが、いかなる曲でも民族音楽のようにノリノリのグルーヴ感あふれるものにしてしまう。20年以上の付き合いがあるという、そんな弾けまくったデュオが、今秋日本で実現するのだからたまらない。コパチンスカヤはすでにTOPPANホールの常連だが、ガベッタは19年ぶりの登場。2007年に、夭逝した才人ピアニスト、ウルスレアサとともにベートーヴェンやラフマニノフのチェロ・ソナタを弾いている。

 今回のデュオでは、冒頭からルクレールの「タンブーラン」で多くの聴き手の度肝を抜いてくれるに違いない。その後は、ヴィトマン作品(突然『007』のテーマが流れるトッカータも)や、J.S.バッハとC.P.E.バッハの鍵盤作品からの編曲など、多彩な選曲だ。

 さらには、コパチンスカヤ自身による新ウィーン楽派風の作品。そして、クセナキスのギリシアの舞曲をモティーフにした初期作品、リゲティの瞑想的で温かみのある作品など、それぞれの作曲家のイメージとはちょっと違う作風の音楽が入っているのもユニークだ。

 プログラムの中核となるのは、ラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」、そしてコダーイの「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」だ。前者は丁々発止の掛け合い、後者は民族色を前面に出した、ともに猛烈に濃いアンサンブルが展開されるはずだ。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2026年8月号より)

パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン) & ソル・ガベッタ(チェロ)
2026.10/26(月)19:00 TOPPANホール 【完売】
問 TOPPANホールチケットセンター03-5840-2222

https://www.toppanhall.com

他公演
10/27(火) 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール(0570-064-939)


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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