前半は交響曲、後半はオラトリオ。そのキメラ的な性質からメンデルスゾーンの交響曲のなかでは異端扱いされていたが、ピリオド系演奏の台頭でその地位は高まりつつある。このバッハのスペシャリストたちの演奏は、その最先端を突っ走る。冒頭楽章の厳かなトロンボーンによる序奏、生き生きと躍動する第1主題、ロマンティックに歌わせる第2主題と、バロックからロマン派までの様式、聖俗までもが次々と入れ替わる。その混じり合いこそ鈴木の真骨頂だ。主題の浮き出しも雄弁。第2、3楽章全体に漂う寂寥感が胸を打つ。これがあるからこそ、第2部のオラトリオ部も俄然生きてくる。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年4月号より)
【information】
SACD『メンデルスゾーン:交響曲第2番「賛歌」/鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン』
メンデルスゾーン:交響曲第2番「賛歌」
鈴木雅明(指揮)
バッハ・コレギウム・ジャパン
ジョネ・マルティネス 澤江衣里(以上ソプラノ)
ベンヤミン・ブルンス(テノール)
BIS/ナクソス・ジャパン
NYCX-10579 ¥3740(税込)

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
https://bsky.app/profile/suzukiatsufmi.bsky.social



