歴史的チェンバロ(クラヴサン)の復興により20世紀の発明品モダン・チェンバロは今や絶滅危惧種だが、新世代の名手たちによる再評価が進む。中野振一郎やエスファハニが先鞭をつけていたが、今度は昨年来日したジュスタン・テイラーだ。『クラヴサンXX』のタイトル通り、20世紀にこの楽器のために書かれたオリジナル名作がずらり。フランセのネオ・ロココ風味、グレツキのミニマル的反復の暴力性、プーランクの変幻自在と激情…。テイラーは楽器の硬質な響きを20世紀の音楽語法に巧みにフィットさせ、痛快に立ち回る。バルトークやジョプリンからはこの楽器の潜在的可能性も聴こえてくる。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2026年6月号より)
【information】
CD『クラヴサンXX 20世紀のクラヴサン作品集/ジュスタン・テイラー』
バルトーク:「ミクロコスモス」第3巻より第79曲〈J.S.B.へのオマージュ〉/フランセ:クラヴサンと器楽合奏のための協奏曲/グレツキ:チェンバロと弦楽のための協奏曲/プーランク:クラヴサンと管弦楽のための「田園のコンセール」/ジョプリン:メイプルリーフ・ラグ 他
ジュスタン・テイラー(クラヴサン[チェンバロ]) クロエ・デュフレーヌ(指揮) リール国立管弦楽団 他
Alpha Classics/ナクソス・ジャパン
NYCX-10595 ¥3520(税込)


