息の合った名コンビによる快演に期待
戸田弥生とアブデル・ラーマン・エル=バシャは、ともにエリーザベト国際コンクールの優勝者同士。もう15年も共演を重ねてきたという二人は、昨年満を持して、フランクとシューマンのヴァイオリン・ソナタ(シューマンは第2番)からなる初の共演CD(オクタヴィア・レコード)をリリースした。研ぎ澄まされた集中力と豊かな歌心から、生き生きした音楽を繰り出す戸田と、エル=バシャの美しい音が、ロマン派を代表する2曲のソナタを情熱的に聴かせているCDだ。録音なので、あとで編集することも可能だが、エル=バシャの提案で部分的に録り直すことはせず、コンサートと同じように全部通しでの演奏を繰り返したそう。音楽の自然な流れに対するこだわりはもちろん、疲労も伴う繰り返しを厭わない、二人の息の合ったコンビぶりも伝わってくる。コンサートでも、もちろんその2曲のソナタを披露。さらに戸田が「何百回も弾いてきた」と語るベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」を弾く。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
5/16(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net