ピアニスト島田彩乃が洗練された感性で紡ぐショパンとドビュッシー

©Toru Hiraiwa

 フランスとドイツで研鑽を積み、ソリストとしてはもちろん、室内楽奏者としても厚い信頼を得ているピアニストの島田彩乃。研ぎ澄まされたピアニズムと多彩な音色、幅広い音楽性によって数多くのレパートリーを持つ彼女が、大切にしている作曲家のひとりであるショパンの大曲に挑む。

 中期の意欲作であるソナタ第2番「葬送」と後期の大作である第3番を柱に、得意とするドビュッシーの前奏曲集からの抜粋も加わるという充実の内容である。島田にとって「ピアノ人生の柱」だという2つのソナタを、いまの彼女がどのような演奏で届けてくれるのか注目したい。そしてドビュッシーの前奏曲集は、すでに2017年に全曲演奏も行い、高い評価を得たレパートリーである。今回は第1部を「風」、第2部は「晩年の成熟」を共通項として選曲し、より深く作品に向き合っている。月日を経てさらなる進化を遂げた音色と表現が聴衆を大いに魅了することであろう。ぜひ堪能してほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年1月号より)

島田彩乃ピアノ・リサイタル
2025.1/17(金)19:00 東京文化会館(小)
問:日本ショパン協会03-6718-4239
http://chopin-society-japan.com