ロシアのメドベージェフ大統領は2月17日、モスクワ郊外の大統領公邸で、約40年にわたり日本でロシア民謡や歌曲を歌ってきたバス歌手の岸本力氏(64)に、ロシア文化の普及や発展への貢献をたたえるプーシキン・メダルを授与した。同メダルは日本のロシア文学者などの受章例はあるが、歌手は初めてという。
岸本氏は大阪府茨木市出身。東京芸術大学大学院修了後、1974年のチャイコフスキー国際コンクールで日本人男性としては初の最優秀歌唱賞を受賞。2010年度文化庁長官表彰も受け、現在は武蔵野音楽大学講師も務める。ロシア音楽をライフワークとして公演活動を続け、ロシア民謡をロシア語で歌い、日本ではほとんど知られていないロシア歌曲の発掘や紹介に努めてきた。
授章式で大統領から日本語で「ありがとう」と声をかけられた岸本氏は式典後、「全身が震えるほどの驚きだ。今後もロシアの歌で『生きる力』『生きる喜び』を伝えたい」と話した。