秋山和慶(指揮) 東京交響楽団

節目の年は名手たちとの共演で

 現在、東京交響楽団桂冠指揮者の秋山和慶は、1964年に同団を指揮してデビューしたが、その後も両者は長年にわたり上質のアンサンブルを聴かせてきた。秋山は小澤征爾と並び齋藤秀雄のメソッドを最もよく体現した音楽家。スダーンからノットへとバトンタッチし、ますます充実している東響だが、正確なタクト捌きとスコアの的確な読みで幅広いレパートリーをもたらした秋山の安定した貢献なくしては、今の繁栄はあり得なかっただろう。何せその関係は音楽監督や常任指揮者など役付きで40年以上、初顔合わせから数えると半世紀に及ぶのだ。
 2月に秋山は川崎で東響と共に指揮者生活50周年記念演奏会を行うが、それに続き月末の同団サントリー定期にも登場する。こちらは秋山らしい少々凝った趣向のイギリス・プログラムとなっている。まずヴォーン・ウィリアムズの「グリーンスリーヴスの主題による幻想曲」と東響コンサートマスター大谷康子がソリストとして登場するサラサーテの「スコットランドの歌」。英国らしい品の良さを漂わせた2曲だが、サラサーテでは大谷がさりげない技巧で秋山の偉業を讃えることだろう。続いてブリテンの珍しい「ピアノ協奏曲」。独奏のキット・アームストロングは幼少期から音楽だけでなく多方面に才能を発揮し、神童の名をほしいままにしてきた。ブレンデルを驚嘆させたというその技は、20代に入りますます磨きがかかっている。コンサートの最後には、骨太の構成で名作の評判が高いエルガーの交響曲第1番が用意されている。格調高く、正攻法で貫禄たっぷりの演奏が聴けるはずだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)

第627回 定期演奏会 
2/26(木)19:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 
http://tokyosymphony.jp