絢爛豪華、クラシックバレエの粋を集めたような煌びやかな舞台である。牧阿佐美バレヱ団の『眠れる森の美女』はウエストモーランド版。プティパの原版をベースとしながらもマイムを多用し、物語を丁寧に紡いでいるのが特徴だ。特に印象的なのはオーロラが目を覚ました後の「目覚めのパ・ド・ドゥ」。ヴァイオリン・ソロによる間奏曲の音色に導かれるように愛を育んでいく様が甘美に描かれている。
王子を踊るのはマリインスキー・バレエのプリンシパル、デニス・マトヴィエンコ。長身で凛とした佇まいはノーブルさに溢れ、王子そのもの。ベテランならではの奥深い表現に優れた演技で作品に深みを与えてくれるだろう。相手役は伊藤友季子。可憐な魅力はオーロラにぴったりだ。別日には同団のプリンシパル、青山季可と菊地研が主役を踊る。
同団のこの作品はセンスよく豪華な衣裳や装置も見どころのひとつ。総合芸術としてのバレエの魅力をあますところなく堪能できるはずだ。
文:石村紀子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
2/28(土)17:00、3/1(日)15:00 ゆうぽうとホール
問:牧阿佐美バレヱ団事務局0570-03-2222
http://www.ambt.jp