ショパン・コンクール優勝者 アヴデーエワの会見

 ポーランド共和国大使館が「第16回ショパン国際ピアノ・コンクール/2010年ショパン生誕200年」記者会見を12月2日に都内のホテルで開催し、マルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性優勝者として注目度の高い、ユリアンナ・アヴデーエワらが出席した。以下は多くの報道陣が集まった会見の概要。
 まず、ヴァルデマル・ドンブロフスキ(第16回ショパン国際コンクール主催者代表)がショパン・イヤーで行われた演奏家やイベントを総括した。ポーランドでの「国立ショパン・インスティトゥート」の設立、「ショパン・ミュージアム」の建設、ショパンの生家の復興、2つの説があるショパンの誕生日にあわせて行われたコンサート、また世界200ヵ国でショパン・イヤー実行委員会が作られたこと、そして世界でショパンに関連する4000もの様々なイベントが行われたことを報告した。
 次にスタニスワフ・レシュチィンスキ(同副代表)が今回のコンクールに関して「今年のコンクールでは様々な解釈による演奏を聴くことができた。聴衆は“競争”を超えてショパンの音楽を楽しむことができた。水準が高いことも大きな特徴だった。アヴデーエワは本当に素晴らしかった」とコメントした。
 そのアヴデーエワは次のように語った。
 「優勝できて嬉しく、とても名誉なことと思っている。NHK交響楽団との共演(12/4、5)も心から楽しみにしている」
 この後(当日まで発表が伏されておりサプライズだった)、第16回ショパン国際ピアノコンクールの審査員を務めたマルタ・アルゲリッチ(第7回優勝)とダン・タイソン(第10回優勝)が登場し、会見に参加した。
 アルゲリッチは「レベルの高さに感銘を受けた。審査でなく“発見”をしたのだという気持ち。こういう時代だからインターネットを使い多くの人の演奏を聴いているが、今回のコンクールは面白かったし、若い人が熱心にショパンに取り組んでいることが嬉しかった。審査員を務めたのも特別な思いだ」
と語り、アヴデーエワの演奏については
 「彼女の演奏は最初から最後まで完璧なバランスがとれている。もちろん女性が優勝したことは嬉しい」と称賛したうえで、アヴデーエワに「人生そのものがプレッシャーとの戦い。私自身も調和のとれた人生を模索しているところです」とアドバイスを述べた。
 一方のダン・タイソンは
 「30年前にアルゲリッチの前で演奏した。今回はその偉大なピアニストと審査員として並ぶことができたのは嬉しい。今回のレベルは、芸術的な見地から言えばヨーロッパ勢の復権ではないかと思った。アジア人が一人も入賞しなかったのは残念だが、ロシア・欧州諸国のピアニストたちが実力をつけたのだと思う」と語った。
 アヴデーエワをはじめ、コンクール上位入賞者5人が出演する「第16回ショパン国際ピアノコンクール2010入賞者ガラ・コンサート」が2011年1月16日(日)〜1月26日(水)に全国で開催される。問い合わせは下記まで。
問:ジャパン・アーツぴあ03-5237-7711