【SACD】ブルックナー:交響曲全集Vol.9 交響曲第0番/パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響

 11年かけて完成され、2021年に発売されたブルックナー交響曲全集の最後の録音。第0番を「シューベルトやメンデルスゾーンの衣鉢を継ぐ、疑いもなく偉大な作品」と位置付けるパーヴォは、誠意をもって曲に取り組み、生気に溢れた演奏を展開している。全体に速めのテンポと緻密かつ引き締まった彫琢が印象的。躍動的な第1楽章、味わい深い第2楽章、元気いっぱいの第3楽章、変幻自在の第4楽章と、終始聴き応え十分だ。後の名作の萌芽が随所にみられながらも、これ自体魅力作であることを示した第0番。名盤が少ないだけに単独でのリリースを喜びたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年4月号より)

【information】
SACD『ブルックナー:交響曲全集Vol.9 交響曲第0番/パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響』

ブルックナー:交響曲 ニ短調「第0番」(原典版/ノーヴァク校訂)

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
フランクフルト放送交響楽団

収録:2017年3月、フランクフルト(ライブ)
ソニーミュージック
SICC 10430 ¥2750(税込)