文:池田卓夫(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®︎)
東京を中心とする首都圏、京都と大阪、神戸の3極から広がる近畿圏のちょうど中間、名古屋から岐阜、長野を網羅する中京圏の音楽文化はとてもユニークで、歴史の豊かな蓄積を誇る。日本旅行の「中部地方創生推進部」が2023年1月から2月にかけて2回開催する「贅沢に味わうクラシック&バイオリン 〜名古屋・浜松よくばりバスツアー」は東海地域の音楽文化の魅力をライブ演奏も交え、ぎゅっと凝縮して体験、さらにグルメ、名所見学の楽しみまで盛り込んだ文字通り「よくばり」な旅のパッケージである。
日程は、1月28日〜29日(申込締切:1/ 6(金)18:00まで)、2月11日〜12日(申込締切:1/20(金)18:00まで)。面白いのは1泊2日か日帰りの2行程をそろえ、1泊の場合も宿泊「あり」「なし」を選べる一方、出発地も名古屋駅か浜松駅のいずれかを指定できるフレキシビリティー(解散はすべて名古屋駅)。たっぷり見聞きしたいけど自宅は名古屋市内、といった方はホテルに泊まることなく、1日目と2日目の出発時間に集合して参加することも可能だ。夕食は自己負担、朝食はホテル宿泊組だけだが、昼食はどのプランにも含まれている。
楽都・浜松で触れる楽器の歴史と未来
1泊2日のプランを詳しく見ていこう。1日目は午前9時に名古屋駅を出発、ヤマハやカワイ、ローランドなど楽器メーカーが集中する楽都、浜松市へ向かい、11時から12時に浜松市楽器博物館を見学する。同博物館は、浜松市が1981年から進める「音楽のまちづくり」の一環として1995年4月に開館した日本初の公立楽器博物館。世界全域の楽器と楽器に関する資料を収集・保存し、調査・研究をおこない、様々な国や地域の楽器を偏りなく同じ目線で平等に展示、楽器や音楽とその文化について、人々の認識と理解を深めることを目的としてきた。楽器実物資料3300点(ヨーロッパ1750点、アジア630点、オセアニア160点、アフリカ230点、アメリカ200点、日本330点)、楽譜・絵画・彫刻等楽器外資料150点、和書・洋書等図書資料8500点、CD・ビデオテープ等視聴覚資料2000点を所蔵する。所蔵楽器を使い、内外一流の演奏家を起用したCDの自主制作も手がけるなど、「攻め」の姿勢の発信も高く評価されている。
ランチ(浜松名物、車海老の活天丼や刺身など)の後は、ヤマハの「イノベーションロード」を訪れる。2018年に新社屋完成と同時にオープンしたイノベーションロードは、1887年(明治20年)に創業したヤマハの「歴史」とこれからの「未来」、2つの道のりを象徴する企業ミュージアムだ。展示エリアは12に分けられ、製品に対する並々ならぬこだわりや挑戦、世界に誇る最新技術を展示・紹介している。数多くの楽器や製品の多くを実際に演奏したり、操作したりできる。特に楽器展示エリアでは、何千万円もするグランドピアノの演奏も可能。腕に覚えのあるツアー参加者はぜひ、体験してほしい。
夕刻に名古屋市内へ戻ると、車窓から街並みを眺めるだけでなく8つの商店街の巨大なコンプレックス(複合体)、大須商店街の散策も楽しめる。ホテル到着(あるいは1日目終了)後は自由行動だ。
名古屋フィル特別編成の弦楽四重奏に、
最後は「金のシャチホコ」で名古屋を満喫♪
2日目は日帰り組と合流し、午前10時より名古屋市中区栄の「アーク栄サロンホール」で2部構成のコンサートを午後12時半までたっぷり鑑賞する。第1部は愛知県大府市に本社を置く日本で最初に弦楽器の製作に乗り出した名門、鈴木バイオリン製造株式会社に光を当てたレクチャーとミニコンサート。ヤマハ同様、1887年(明治20年)に創業した初代社長の鈴木政吉の三男、鈴木鎮一は、大正時代にドイツのベルリンへ留学、第二次世界大戦が終わった直後の長野県松本市で、才能教育研究会の前身に当たる音楽院を設立した。全世界に普及した教育理論と手法は「スズキ・メソード」と呼ばれている。ここではヴァイオリン製造の小野田祐真・現代表取締役社長が国産初のヴァイオリンの聴き比べ、理論物理学者のアルベルト・アインシュタインがヴァイオリンを寄贈した政吉に宛てた手紙(「最優秀なる貴台の芸術に対して驚嘆の念を禁じ得ません」と結ばれている)の紹介などに当たり、自身の演奏も披露する。
第2部は名古屋フィルハーモニー交響楽団(名古屋フィル)楽団員による弦楽四重奏特別コンサート。1月29日は米田誠一、川上裕司(以上ヴァイオリン)、小泉理子(ヴィオラ)、佐藤有沙(チェロ)の出演でモーツァルト「ディヴェルティメント K.138」、久石譲「となりのトトロ」など。2月12日は小玉裕美、川上(以上ヴァイオリン)、池村明子(ヴィオラ)、幸田有哉(チェロ)の出演でヴィヴァルディ「四季」より〈春〉、モーツァルト「弦楽四重奏曲 K.387『春』」など。1966年発足の名古屋フィルは中京圏を代表するメジャー・オーケストラであり、腕ききメンバーのライブ演奏を座席数最大60、素晴らしい音響のコンサート専用ホールで聴ける楽しみは大きい。
終演後は名古屋市内でランチコース。最後はいよいよ、「金のシャチホコ」で知られる名古屋城に向かい、本丸御殿を見学。いずれのツアーも午後4時半ごろ、名古屋駅で解散する予定。1人で回ろうとしても、この密度と速度は無理かと思われ、貴重な“集中スタディー”のチャンスといえる。
Information
日本旅行
「贅沢に味わうクラシック・バイオリン〜名古屋・浜松よくばりバスツアー〜」
日程 | 2023.1/28(土)〜1/29(日) 2023.2/11(土)〜2/12(日) |
旅行代金(税込) | ●1泊2日(宿泊あり)プラン:大人1名 35,000円 ●1泊2日(宿泊なし)プラン:大人1名 25,000円 ●日帰りプラン:大人1名 18,000円 |
集合場所 | JR名古屋駅太閤口噴水前又は浜松駅北口より選択 |
解散場所 | JR名古屋駅太閤口 |
申込締切 | 2023.1/28(土)・1/29(日)開催:2023.1/ 6(金)18:00まで 2023.2/11(土)・2/12(日)開催:2023.1/20(金)18:00まで |
参加条件 | 大人(中学生以上) ※未成年者の方(15歳以上18歳未満)のみでのご参加、又は親権者以外の方(成人を含む)が同行される場合には、同意書のご提出をお願いしております。 |
●1泊2日・宿泊なしプラン
「①名古屋駅出発・解散」と「②浜松駅出発・名古屋駅解散」よりお選びください。
●日帰りプラン
開催日程の2日目が対象(1/29(日)・2/12(日))
出発地・解散地は名古屋駅となります。
①名古屋駅出発・解散
《1日目》
名古屋駅出発(9:00)—浜松市楽器博物館(11:00)—昼食(12:30)—ヤマハイノベーションロード(13:45)—名古屋観光 *大須商店街散策(16:30)—ホテルチェックイン(18:00頃)
※宿泊なしプランの方:18:30頃名古屋駅着
《2日目》
ホテル出発(9:30)—アーク栄サロンホール *特別講座・ミニコンサート(鈴木バイオリン・名古屋フィルハーモニー交響楽団)(10:00)—昼食(13:00)—名古屋城見学(14:40)—名古屋駅解散(16:30頃)
※宿泊なしプランの方:9:10名古屋駅出発
②浜松駅出発・名古屋駅解散
《1日目》
浜松駅(10:45)
※徒歩にて浜松市楽器博物館へ移動(約5分)その他行程は上記①と同様です。
【日帰りプラン】
上記2日目行程と同様です。
名古屋駅 9:10出発、名古屋駅16:30頃解散となります。
※状況により行程を変更させていただく場合がございます。
※時間は前後する場合がございます。
お問い合わせ
名古屋・浜松よくばりバスツアー事務局(株式会社日本旅行 中部地方創生推進部内)
住所:名古屋市中区栄2-11-30セントラルビル内
Tel:052-232-6752 Fax:052-232-6706
E-mail:nagohama_classic@nta.co.jp
受付時間:10:00〜18:00(土日祝休み/年末年始除く)