晩秋に味わうピリオド楽器オーケストラの響き
ピリオド楽器専門を標榜する「アンサンブル・パルナス東京」。楽団としての演奏会は昨年から開始し、バロックの名品を独自の目線で再構築した演奏で好評を博した。古典四重奏団の3人が主要メンバー(コンサートマスター川原千真、三輪真樹、田崎瑞博)というだけでも、その深掘りとキレ具合は想像できるというもの。そのほかのメンバーもピリオドかモダンかを問わず、幅広い時代とジャンルの音楽で活躍中の達人ばかりで、研ぎ澄まされた音色と楽しさにあふれるパフォーマンスを実現している。
今回は「秋の星空バロック」と題して、大きめの編成の器楽作品を中心に。まず、ラモーのパストラル「ナイス」より抜粋で、金管・打楽器も大活躍の鮮烈な音楽で開幕。続くヘンデルのオルガン協奏曲ヘ長調 op.4-4は、主催者によると「宮沢賢治の心象スケッチ『春と修羅』の中の“告別”と深い関連があります。詳しくは当日のプログラム解説にて!!」とのこと。そして、J.S.バッハのブランデンブルク協奏曲と序曲(管弦楽組曲)の両第3番という名曲2作に続き、「トッカータとフーガ ニ短調」の田崎瑞博による編曲版を。遊び心ある編曲から、どんな古くて新しい響きが生まれるのか。
秋の深まる11月下旬、同日昼夜の2公演で本格的なピリオド楽器オーケストラの響きを堪能できる「パルナス」のステージ。古楽愛好家にはもちろんのこと、むしろ楽器や考証を問わず、ただ刺激的なバロック音楽を楽しみたい!という方にこそお薦めしたい。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年12月号より)
2022.11/22(火)15:00 19:00 Hakuju Hall
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977
https://www.bflat-mp.com