こどもを対象とした世界最大級の音楽祭「こども音楽フェスティバル」が、いよいよゴールデンウィークに初開催! 公式アンバサダー・配信総合パーソナリティを務める清塚信也さんへのインタビュー(5月号)に続いて、ご自身もまさに子育て真っ最中の出演者3人がご登場。トップバッターは、小学生の娘さんがいらっしゃるチェリストの遠藤真理さん。こどもたちにとってクラシック音楽と出会うことの大切さを語っていただきました。
取材・文:飯田有抄
——こどもたちがクラシック音楽に出会い、楽しむことの大切さは、どんなところにあると思いますか?
たとえば、小さな弱音が流れているところに突然強打音が聞こえるとびっくりしますよね。こどもたちは音色や強弱の変化などを素直に受け取り、驚いたり喜んだりします。まるでお話を聴くように、音楽を感じ、楽しむことで、自然に感性が磨かれていくと思います。
——一流アーティストの演奏を、サントリーホールのような音楽ホールで聴く経験は、こどもたちの成長にどんな影響があると思われますか?
ホールで聴く一番の魅力は、ホールも楽器の一部だと知れることですね。響きの緊張感も味わえます。肌で感じる経験は、かけがえのないものになると思います。
——今回のフェスティバルでは無料ライブ配信も行われます。
コロナ禍で配信が一般的になりましたよね。私も配信コンサートをライブ視聴するのが好きです。同じ時間を共有していると思うだけでドキドキします。普段のコンサートでは見られない手元や表情を見られて嬉しいですね。
——ご自身のお子さんとの音楽にまつわるエピソードを教えてください。
面白いエピソードはたくさんあります。例えば、「明日」の次は「明後日」、その次の日は「明明後日(しあさって)」。「じゃあその次の日は『ド明後日』? さらにその次の日は『レ明後日』?」と聞かれたことがあります。まさかの音階で考えていたことに驚きました。
テレビから流れてくる音を聞いて「これチェロの音じゃない!?」と反応することもあります。身近で聞いているからこそ、音に敏感でいてくれて嬉しいです。
——ご自身は子育てのご経験を経て、音楽家としての生き方や考え方に変化はありましたか?
下の娘も小学生になり、体力的には楽になりました。それでも時間は足りませんから、何が一番大事か、優先順位を明確にしています。キッチンに立ちながらこっそりイヤホンをして譜読みをするのが日常的になりました。
——こどもたちが本格的な演奏に触れられる「こども音楽フェスティバル」は、お子さんだけでなく、ご家族にとっても魅力がありそうですね。
こどもと同じ空間で音楽を分かち合えるのは、実はとても貴重で、嬉しいことですよね。何歳になっても、その感動は思い出としてずっと残る素敵な機会だと思います。
妊婦さんがリラックスしながら楽しめる「0才まえのコンサート」(5/7)では、チェロのダイナミックな響きに委ねて、楽しい時間をお過ごしください。
〈遠藤さんの出演公演〉
0才まえのコンサート ~プレママに贈るリラックス・チェロ・アンサンブル~
2022.5/7(土)12:00 サントリーホール ブルーローズ
辻本玲、長谷川陽子、遠藤真理、横坂源、伊藤悠貴(以上チェロ)
♪ビゼー(小林幸太郎編):カルメン組曲 他
対象年齢:0歳から入場可
【Profile】
遠藤真理 Mari Endo
第72回日本音楽コンクール第1位、2006年「プラハの春」国際コンクール第3位(1位なし)、2008年エンリコ・マイナルディ国際コンクール第2位。ジャン・ピエール・ヴァレーズ、小林研一郎、山田和樹など国際的に活躍する指揮者やウィーン室内管、プラハ響、ザルツブルク・ゾリステンらと共演するなど国内外で高い評価を得ている。ソリストとして活動するとともに読売日響のソロ・チェロ奏者も務める。CDはエイベックス・クラシックスから7枚リリースされており、テレビや映画演奏の他にNHK-FMラジオ「きらクラ!」(全国放送)のパーソナリティを8年間務めるなど幅広く活躍中。第8回齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。
【Information】 配信あり
こども音楽フェスティバル
2022.5/4(水・祝)〜5/7(土) サントリーホール およびアーク・カラヤン広場等 周辺施設
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
ソニー音楽財団03-3515-5261
https://www.kofes.jp